2008.11.18

平成20年度「現代パフォーミングアーツ入門」第6回(11月17日)~ジャズの様々な形、ジャズから派生した音楽など

フュージョン、ジャズロック、フリー系、ジプシースウィング、最先端北欧ジャズなど。

[DVD]「The Crusaders Live At Montreux 2003」より「Street Life」、(1976年ボーナス映像より)「Hard Times」「Spiral」
*クルセイダーズ1970年代に活躍したフュージョンバンドで「Street Life」はその代表曲。オリジナルメンバーのジョー・サンプル(key)とウィルトン・フェルダー(sax)により再結成された際のライブより。
*1976年のライブにはラリー・カールトン(g)が参加。

[DVD]「STEPS AHEAD」より「In A Sentimental Mood」「Trains」
*ヴィブラフォン奏者のマイク・マニエリをリーダーとするフュージョンバンドの、1986年来日公演の映像。
*参加メンバーのうちマイケル・ブレッカー(sax,EWI)、マイク・スターン(g)、ダリル・ジョーンズ(b)は前回までの授業で登場済み。
*スティーヴ・スミス(ds)はロックバンド「ジャーニーJourney」にも参加。

[DVD]Alan Holdsworth他「Live At Yoshi's」より「Protocosmos」
*超絶速弾きギタリストホールズワースを中心とする2006年のセッション。
*ホールズワースは「Protocosmos」はソフトマシーン、UK等のプログレバンドで活躍した他、元マイルスバンドのドラマー、トニー・ウィリアムス(ds)率いるジャズロックバンド「Lifetime」にも参加。
*確認したところ1946年ということで、この年に還暦を迎えています。

[DVD]「Europafest: JazzHighlights」よりJohn Zorn's Naked Cityの曲(曲名不明)
*1990年にドイツのシュツットガルトで行われたジャズフェスティバルの映像。以前「シュツットガルト・ジャズ・サミット」としてLDで発売されていたもの。
*NYアンダーグラウンドシーンのリーダー的存在であるジョン・ゾーン(sax)が率いるバンド。
*不思議な音を出すかっこいいギターはビル・フリゼル。

[DVD]「Masada Live At Tonic 1999」より「Hath-Arob」
*ジョン・ゾーンによるもうひとつのバンド。ドラムはNaked Cityと同じくジョーイ・バロン。

[DVD]「BIRELI LAGRENE & FRIENDS」より「Waltz for Nicky」(★)、「▲Night and Day」
*ジプシー(ロマ)系ギタリスト、ラグレーンを中心とするセッション。2004年発売。ゲストにアコーディオン奏者Richard Galliano(★)とギタリストSylvain Luc(▲)。
*Sylvain Lucは指弾きとピック弾きのどちらも巧い。ヴァイオリンのMartin Weissも無名ながら素晴らしい演奏。

[DVD]e.s.t「live in stockhorm」
*今年6月に事故により急逝したスウェーデン人ピアニスト、エスビョルン・スヴェンソンのトリオ。


あと4限にはジョン・マクラフリンのマハヴィシュヌ・オーケストラ、ラリー・コリエル+アルディメオラ+ビレリ・ラグラーンなども見ました。

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2008.11.11

平成20年度「現代パフォーミングアーツ入門」第5回(11月10日)~ハンコック、マイルス、ペトルチアーニ他

「共演者しりとり」でハンコックからマイルスへ。さらに(直接的な繋がりはありませんが)ペトルチアーニ。
*以下は5限の内容です。4限に受講した人は曲目・曲順が一部異なりますので注意してください。

[DVD]「ディジョネット,ハンコック,ホランド,メセニー/イン・コンサート」よりD.ホランド作曲「Shadow Dance」、ハンコック作曲「Cantaloupe Island」

[DVD]ハービー・ハンコック「Future 2 Future Live」より「Rockit」
*2002年のライブ。ターンテーブル奏者のDJ Disk、女性ドラマーテリ・リン・キャリントンらが参加。
*「Rockit」は83年のアルバム「Future Shock」よりシングルカットされ大ヒット。当時のPVは必見。

[DVD]Miles Davis「miles electric: a different kind of blue」より「So What?」(64年)、「Call it anything」(70年)途中まで。
*タイトルはマイルスの名盤「Kind of Blue」に引っ掛けたもの。
*60年代末の「エレクトリック化」を追ったドキュメンタリー。クライマックスは70年のワイト島フェスティバルでの演奏。
*「Call it anything」にはキース・ジャレット(key)、チック・コリア(key)、ジャック・ディジョネット(ds)、デイヴ・ホランド(b)らが参加。
*ディジョネットもキースもアフロ!少年のような風貌のホランドにもびっくり。

[DVD]マイルス・デイヴィス「Live in Montreal」より「Human Nature」「Time After Time」「Jean Pierre」
*1985年のライブ。故ボブ・バーグ(sax)、ダリル・ジョーンズ(b)、ジョン・スコフィールド(g)らが参加。
*ジョンスコかっちょええー

[DVD]ミシェル・ペトルチアーニ「Power of Three」より「Beautiful Love」「In A Sentimental Mood」
*1986年、モントルージャズフェスティバルでのスペシャル・セッション。共演はジム・ホール(g)、ウェイン・ショーター(sax)(ただし上記2曲はジム・ホールとのデュオ)。
*ペトルチアーニは1999年に36歳で死去。ってことはこの映像の時点で23歳ですね。

[DVD]ミシェル・ペトルチアーニ「Non Stop Travels With Michel Petrucciani」より
*95年制作のドキュメンタリー

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2008.10.28

平成20年度「現代パフォーミングアーツ入門」第4回(10月27日)~パット・メセニーPat Methenyを中心に

PMG=パット・メセニー・グループです。ジョニ・ミッチェル「シャドウズ・アンド・ライト」にも参加していたキーボードのライル・メイズは固定メンバーで、多くの作品はメセニー&メイズ名義。

[DVD]PMG「More Travels」(91年)より「Have you heard「Last Train Home」「First Circle」「Third Wind」
*80年代に確立された典型的なPMGサウンド。
*5限の授業前にこのDVDを冒頭から流してました。授業開始時に流れていたのは「Last Train Home」あたり。

DVD]「ディジョネット,ハンコック,ホランド,メセニー/イン・コンサート」よりメセニー&ディジョネット作曲「9 Over Reggae」
*90年収録。Jack DeJonette(ds), Herbie Hancock(p), Dave Holland(b), Pat Metheny(g)によるスーパーセッション。
*メセニー以外の3人は60年代後半~70年前後にマイルス・デイヴィスのグループに参加していたメンバー。

[LD]Jack DeJonette's Special Edition「Live At The Montreal Jazz Festival 1988」より「PM'S AM」
*DeJonette'のリーダーバンド。
*パット・メセニー(g)がゲスト。ギターシンセでアドリブ・ソロを演奏。
*サックスはグレッグ・オズビー(アルト)とゲイリー・トーマス(テナー)。

[DVD]パット・メセニー「シークレット・ストーリー・ライブ」より「Finding and Believing」
*1992年収録。PMGとは別に立ち上げたソロプロジェクトのライブ。

[DVD]PMG「Speaking of Now Live」(03年)より「Scrap Metal」(5限のみ)
*2002年の来日公演で収録。新メンバーのクオン・ヴー(tp)が大活躍。

[DVD]PMG「The Way Up Live at Montreal Jazz Festival 2005」より「Are you going with me?」
*海外で購入したJazzDoorレーベルのDVD。国内では見かけたことがないので貴重かも?
*80年代前半から繰り返し演奏されているPMGの代表曲の一つ。
*イントロはピカソギター。クオン・ヴー(tp)や新メンバーのGregorie Maret(ハーモニカ)も活躍。

[DVD]PMG「THE WAY UP - LIVE」(06年)より
*2005年韓国公演(東京公演の直後)で収録。
*メセニーはE-BOW(ギターの弦を電磁気により振動させる装置)を使ってました。
*カリンバ(親指ピアノ)も使われていました。

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2008.10.20

平成20年度「現代パフォーミングアーツ入門」第3回(10月20日)~ジャコ・パストリアスJaco Pastoriusを中心に

今年はジャコ・パストリアスはほどほどに、と思ってましたが、見出したら止まらなくなってしまいました。

[DVD]ウェザーリポート「FORECAST TOMORROW」よりジャコのソロ、「Teen Town」「Birdland」
*ジョー・ザヴィヌル(key)とウェイン・ショーター(sax)を中心とするバンドの78年のライブ。
*ベースに全盛期のジャコ、ドラムはピーター・アースキン。

[DVD]ジャコ・パストリアス・ビッグバンド「ライブ・イン・ジャパン」より「Invitation」「The Chicken」「Continuum」「Sophisticated Lady」「Liberty City」「Three Views Of A Secret」
*82年来日時のライブ。
*「Continuum」「Liberty City」「Three Views Of A Secret」の3曲がジャコのオリジナル。いずれも名曲です。
*マイケル・ブレッカーの兄ランディ(tp)、ボブ・ミンツァー(sax)、トゥーツ・シールマンス(ハーモニカ)らが参加。
*ドラムはピーター・アースキン、パーカッションは「シャドウズ・アンド・ライト」でドラムを叩いていたドン・アライアス。
*編成面ではスチールドラム(スチールパン)の参加も特徴的。
*同じバンドによる同時期のモントリオールでのライブもDVD化されていますが、こちらの方が格段に良い演奏だと思います。ジャコの表情が良い。

参考(必見!):[YouTube]Jaco Pastorius + Toots "3 Views Of A Secret"

[VHS]「RETURN OF THE BRECKER BROTHERS」(93年)より「SONG FOR BARRY」
*ランディ(兄、tp)とマイケル(弟、sax)のブレッカー兄弟により70年代に結成された「ブレッカー・ブラザーズ」が、90年代に再結成(ただしオリジナルメンバーはブレッカー兄弟のみ)された時のライブ。
*マイク・スターン(g)とデニス・チェンバース(ds)も強力。
*マイケル・ブレッカーが最初に吹いて(?)いるのはEWI(Erectric Wind Instrument)といって、日本のAKAIが開発した管楽器型のシンセサイザー・コントローラー。
*徳永が知る限りVHSとLDでしか発売されていません。VHSが擦り切れる前にDVD化して欲しい!LDも中古見つけたとき買っときゃよかった(すぐDVD化されるだろうと思って買いそびれた)。

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2008.09.29

平成20年度「現代パフォーミングアーツ入門」開講しました

今年も第1回はジョニ・ミッチェル「シャドウズ・アンド・ライト」(完全版)
以下はamazon.co.jpよりコピーした曲目リスト↓

1. シャドウズ・アンド・ライト~ジュービナイル・ディリンクワント
2. フランスの恋人たち
3. イーディスと親玉
4. コヨーテ
5. パリの自由人 ×
6. グッドパイ・ポーク・パイ・ハット ×
7. ジャコ・パストリアス・ソロ~ザ・ハイ・アンド・ザ・マイティ~サード・ストーン・フロム・ザ・サン
8. デ・モインのおしゃれ賭博師
9. アメリア~パット・メセニー・ソロ ×(3限のみスキップ)
10. 逃避行 ×
11. 黒いカラス
12. フュリー・シングス・ザ・ブルース ×
13. 陽気な泥棒
14. ホワイ・ドゥ・フールズ・フォール・イン・ラヴ
15. シャドウズ・アンド・ライト

(×印は一部または全部をスキップした曲)

メンバー:

Joni Mitchell (Guitar, Keyboards, Vocals)
Michael Brecker (Tenor Saxophone)
Pat Metheny (Guitar)
Lyle Mays (Acoustic Piano, Keyboards)
Jaco Pastorius (Bass)
Don Alias (Drums)
The Persuasions (Vocals)


ネット上のレビューを読むと映像の編集が批判されてますが、当時の状況を考えれば仕方ないのでは。未公開映像が残っているなら再編集して欲しいところですが、おそらく存在しないのでしょう。


来週の第2回は俳優座「スペース・ターミナル・ケア」(坂手洋二作・栗山民也演出)を観に行く予定です。

Photo

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2008.09.28

「時には一輪の花を」/アリエル・アッセルボーン

現代ギター2006年11月号のレビューより、アリエル・アッセルボーンの1stアルバムのレビューを転載。実は2008年10月号に2ndアルバム「大地に眠る歌」のレビューを書いているのですが、現在店頭に並んでいますので、こちらにはもう少し経ってから載せます。

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アルゼンチンのフォルクローレをバックグラウンドに持つ東京在住のシンガー&ギタリスト、アッセルボーンのソロデビュー作。美声の陰に隠れて見落されがちだが、「…君を想う」でのハーモニクスを駆使した複雑なバッキングパターンなど、随所に見られるユニークなアイディアが素晴らしい。しかも彼はこれを歌いながら弾くのである(先日実演に接して驚愕!)。でもこのCD、大手ショップでは「癒し系」で括られちゃうんだろうなあ。実際、クラシックギターで鍛えられた繊細な音色は耳に心地よいのだけど…せめて本誌の読者には、彼の優れた技術とセンスにしっかり注目して欲しい。インストにも佳曲多し。

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2008.09.27

「Strange Device」/Salle Gaveau

現代ギター2008年9月号より転載。

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1作目が衝撃的であるほど以降の展開が難しいものだが、このバンドについては杞憂だった。表現技法としてのタンゴと闘争的改革精神という、ピアソラの本質的な(すなわち表面的な模倣の対極に位置する)要素がますます研ぎ澄まされた2ndアルバム。ロックやジャズの要素を取り込んだ、良質かつ独創的な"室内楽作品"として本誌上で紹介することに躊躇はない。鈴木大介との活動が活発化する鬼怒、オペラシティ10周年記念委嘱作品(小松亮太作曲)初演のソリストに抜擢された喜多をはじめ、メンバー全員が同業者から羨望の眼差しを向けられるほど傑出した技量の持ち主である。ライブで卒倒しないよう、CDで充分予習しておくことをお勧めする。


6/25発売 MABO-025 \2625 (税込価格) \2500 (税抜価格)

メンバー

鬼怒無月(guitar)
喜多直毅(violin)
佐藤芳明(accordion)
鳥越啓介(contrabass)
林正樹(piano)
収録曲

1 Jehu Kido 7:07
2 800% Hayashi 6:53
3 Tingo Sato 8:21
4 Weightless ZOO Hayashi 5:31
5 Strange Device Kido  8:04
6 ROCK-A-TANGO Torigoe 3:46
7 ジョルジュ・ドゥ・ラ・トゥールの?燭 Sato  8:17 (Bougie a Georges de La Tour)
8 Automata Kido 4:46
9 黒いカマキリ ~“Una Santateresa Negra" Kita  8:14
Total time 60:59

************************************************

1stアルバム「Alloy」のレビューはこちら

「1作目が衝撃的であるほど以降の展開が難しい」のはレビューを書く立場でも同じである。同じような誉め言葉を繰り返しても仕方ないし。さらにクラシックギター専門誌である「現代ギター」の読者が対象、という制約もある。鈴木大介の名前を出したのは現代ギターの読者なら誰でも知っている名前だから。「オペラシティ10周年記念委嘱作品のソリスト」というのも、クラシック奏者なら大きな勲章だ。

1作目と比較したときの特徴としては、リーダー鬼怒の作品の比重が少し減り、その分他のメンバーが曲を提供していることが挙げられるのだけど、そこは字数的に書ききれなかった。特に喜多がこのバンドのために初めて提供した(書き下ろしではないがバンド用に新たにアレンジした)「黒いカマキリ~Una Santateresa Negra」は聴きモノで、最近のライブで毎回ラストを飾ってます。


残念ながら首都圏でのライブはしばらくないみたいですね。

SalleGaveauライブ予定:

10/9(木) 名古屋TOKUZO(052-733-3709)
10/10(金) 吉良町intelsat(0563-35-0972)
10/11(土) 岡山城下公会堂(086-234-5260)
10/12(日) 岡山城下公会堂(086-234-5260)
10/13(月・祝) 京都ライブスポットRAG(075-241-0446)
10/14(火) 大阪Knave(06-6535-0691)
10/15(水) 金沢もっきりや(076-231-0096)
10/16(木) 甲府桜座(055-233-2031)
10/18(土) Contemporary Music Festival@博多Gate's7(092-283-0577)

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2008.06.07

「想いの届く日」/大萩康司

現代ギター2008年4月号「新譜案内」より大萩康司「想いの届く日」のレビューを転載。

Cd

収録曲は以下の通り:

1. 思いの届く日(カルロス・ガルデル)
2. ロンドンデリーの歌(アイルランド民謡)
3. オーバー・ザ・レインボー(ハロルド・アーレン)
4. サマータイム(ジョージ・ガーシュウィン)
5. 早春賦(中田章)
6. 失われた恋(ジョセフ・コスマ)
7. 星の世界(チャールズ・C・コンヴァース)
8. シークレット・ラヴ(サミー・フェイス)
9. ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア(J・レノン、P・マッカートニー)
10. ミッシェル(J・レノン、P・マッカートニー)
11. ヘイ・ジュード(J・レノン、P・マッカートニー)
12. イエスタデイ(J・レノン、P・マッカートニー)
13. インターナショナル(ピエール・ドジェイテール)
14. ディアナ(ウェイン・ショーター)
15. アリラン(韓国民謡)
16. 愛のロマンス(スペイン民謡)
17. 愛の賛歌(マルグリット・モノー)
18. シラキューズ(アンリ・サルバドール)


大萩にとって初の「名曲集」ともいうべき小品集。魅力的な小品の演奏も印象深い大萩だけに、とりわけ「12の歌」は楽しみにしていたファンが多いだろう。待望の大萩版は情緒に溺れ過ぎず、深みを兼ね備えた明るさを感じさせる音色が特徴だ。武満ならではの"非ギター的"な音遣いの処理にギタリストの個性が現れるわけだが、大萩の演奏は実に軽やかで自然に流れ、そもそもそんな箇所など存在していないかのように思わせる。タイトル曲と「アリラン」はそれぞれアルゼンチンと朝鮮半島を代表する名曲であり、優れた編曲(ビジャダンゴス、金庸太による)と大萩の表現力によって極上のメロディがあらためてクローズアップされた形だ。ディアンス編の2曲と合わせた"4つの歌"はいずれも今後ギタリストの人気レパートリーになっていくに違いない。さりげなく挟みこまれた「ディアナ」のモダンな響きが、これまたハッとするほど美しい。


***

以下追記。

記事では「大萩版」のところを「大萩盤」と変更されてしまったのだけど、CD全体じゃなくて「12の歌」について言及しているのだから「版」でいいと思うんですが。まあ細かいことです。

整理しておくと、「12の歌」を全曲録音している日本人ギタリストは僕が把握している限り大萩さんの他に、荘村清志さん、佐藤紀雄さん、福田進一さん、鈴木大介さん(まだいると思いますが)。佐藤紀雄さんはLP時代の録音でCD化されていないので入手は絶望的ですね。鈴木大介さんは2回録音。あと数曲抜粋して録音してる人は村治佳織さんはじめ多数。

レビューに付け加えることはあまりないのだけど、妥協のない選曲は本当に素晴らしいと思う。大萩さんのアルバムは毎回コンセプトがしっかりしているのだけどそれでも、「ジスモンチならそれじゃなくてアレを入れて欲しかったな」といった個人的な願望も含め、「惜しいな」と思う選曲が1・2曲はありました。でも今回は完璧。こういう「名曲集」はなかなかないですよ。「アリラン」は金さんのCDでは二重奏版だったのだけど、金さん自身がよくコンサートで演奏している独奏版も良いアレンジだと常々思っていたから、こうして世に出たのは喜ばしい。「シラキューズ」は僕がライナーノートを書いている竹ノ内美穂さんのCDで聴いて「なんて美しいメロディだろう」と思った曲。大萩さんにはまさにぴったりでしょう。ちなみに竹ノ内さんの演奏も僕は非常に気に入っており、この曲に関する限り甲乙つけ難いと思ってます。MAレコーディングスなので録音クオリティも極上。

選曲について、すぐに気付くのは「禁じられた遊び」と「ディアナ」のみ異質であるということ。この2曲のみ「歌」ではないし。

本人がどこかで触れていたと思いますが、「禁じられた遊び」には大萩さんから母親へのプレゼントという意味合いがあります。彼がギターを始めたのは母親の影響なのですが、にも関わらず、母親にとって馴染み深い曲の録音というのがこれまで非常に少なかった。なので「名曲集」にはどうしても「禁じられた遊び」を入れたかった、という話を伺った記憶があります(記憶が曖昧なのであまり正確ではないかもしれませんが大筋で間違いないと思います)。単に誰でも知っている曲だから入れた、というわけではないんですね。

「ディアナ」だけは当初意図がわかりませんでした。これは渡辺香津美さんがCD「おやつ」に収録するためにアレンジしたもので、その後福田進一さんも録音しています。大萩さんは福田さんの後追いという形での録音が比較的多いのですが、それにしてもなぜこの曲を? そこで本人に直接メールで質問。すると明快な回答が返ってきました。「12の歌」が終わった後、次の「歌」に繋げるための「間奏曲」にしたかった、というものです。これは本人がインタビュー等で話していなければ新事実かな?私信ではありますが、一応ライターとしての正式取材ということで公開させていただきます。

というわけで唯一残った疑問は氷解し、「完璧な選曲」という評価に至った次第です。

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2008.04.15

「タンゴのルーツ…ノスタルジー」はミュージシャンにも注目を!

Posuter

12日の興奮も冷めやらぬまま、というか半ばグッタリした状態で、13日の「タンゴのルーツ…ノスタルジー」公演初日@品川プリンス・クラブexに行ってきました。

ダンス、歌、演奏と三拍子揃った非常にハイレベルなショーです。クラブexはこじんまりとした高級感のあるハコなので、少々値段が高いのも納得。お金かかってるもんね。13日は生ピアノじゃなくてエレピだったのが唯一残念な点でしたが、鎌倉(18日)と有楽町(20日)はグランドピアノらしいのでこれから行かれる方はお楽しみに。

で、上のリンク先にはけしからんことにバンドメンバーの紹介がないのだけど、演奏は日本のタンゴ界の若手の精鋭を集めた会田桃子セステート(会田桃子・宮越建政(Vn) / 北村聡・鈴木崇朗(Bn) / 青木菜穂子(Pf) / 東谷健司(Cb))が務めています。演奏だけのパートもあり。

このメンバーのうち、会田さん、鈴木さん、青木さん、東谷さんの4人に歌手のSayacaさんを加えた5人(+現地のゲストミュージシャン)は3月にブエノスアイレスで「2 x 4 Tokio(dos por cuatro tokio)」としてコンサートを行ってきました。実は僕は幸運にも、先月アルゼンチンを旅行してそのコンサートに居合わせることができたので、今月発売されるラティーナにレポート記事を書いています。

日本の若手タンゴミュージシャン達が、現地でも「通用する」ってレベルじゃなくて、「日本人にしてはすごい」っていう色メガネで見られているわけでもなくて、純粋に音楽で本場の聴衆を感動させる力を持っている、ということをしっかり確認できました。「タンゴのルーツ…」でも演奏される会田さんのオリジナル曲での盛り上がりは凄まじかったし、ゲストのフェデリコ・ペレイロ(若手No.1の呼び声高いバンドネオン奏者)やラミーロ・ガジョ(日本のタンゴファンにもよく知られたトップヴァイオリニスト)の熱の入り方もすごかった。「日本人のタンゴ」という以前に、「同時代の優れたタンゴ」という受け止められ方ですよ。

もっとも彼らは以前から度々渡亜して現地ミュージシャンとの交流や共演を重ねているわけで、その辺の事情をよく知る人にとっては、ちっとも驚くべきことではないですけどね。「本場でこんなに評価されてます」なんて書くのもいやらしい。書きましたが笑


なおタンゴ・プロジェクト「2 x 4 Tokio」は5月8日に六本木STB139で、今度はSayaca(vo)、青木菜穂子(pf)、会田桃子(vln)、吉田篤(vln)、 北村聡(bn)、早川純(bn)、西嶋徹(b) というこれまたすごいメンバーで帰国ライブを行います。

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2008.04.14

VIOLIN EXPLOSION 2008 終わりました

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写真は舞台袖より。ケータイで撮ったものですが、この1枚だけ奇跡的にほとんどブレていませんでした。ベースの鳥越さんとパーカッション海沼さんが重なってしまいましたが、辛うじて全員映ってます。

御来場の皆さん、出演者・スタッフの皆さん、宣伝に協力してくださった皆さん、本当にどうもありがとうございました。

出演者が決まった時点で素晴らしい内容になることはわかりきっていましたが、期待以上に素晴らしい内容だったと思います。
以下曲目リスト:

第1部
(喜多コーナー)
01. 板橋区 (喜多直毅)
02. 黒いカマキリ - Santateresa Negra - (喜多直毅)

(太田コーナー)
03. ソロ~Mozqus (太田惠資作曲)

(中西コーナー)
04. American Wake (Bill Whelan)
05. Estate (Bruno Maretino)
06. Some Skunk Funk (Randy Brecker)

第2部
(中西+喜多)
07. Women's Dance (Milcho Leviev)

(中西+太田)
08. Nuages ~ Daphne (Django Reinhardt)

(太田+喜多)
09. MASARASCOPE (太田惠資)

(中西+太田+喜多)
10. 太田のトルコ (太田惠資)
~ Luki (John McLaughlin)
~ Utviklingssang (Carla Bley). ~ 太田のトルコ

アンコール
Tiger Rag

【追記】曲目の説明が非常に詳しいブログを見つけましたので、リンクを張らせていただきます。

演奏者の皆さんの並々ならぬ意欲、そして演奏中の楽しそうな様子は何にも代えがたいものです。

さて来年はどうしましょう。主催者募集(笑)。いや冗談ではなく、「ぜひうちで」というホール関係者や音楽事務所の方がおられたら御連絡ください。コーディネートは引き受けますよ。

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