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2004.03.30

今日(30日)は喜多+伊藤+宮野+海沼とSOH BAND

これは日付別ライブ情報に載せてあるもの。念押しです。なにせ喜多直毅さん、伊藤芳輝さんは授業で素晴らしい演奏を聴かせて下さいましたからね。新橋サムデイにて。 さらにハードなものが聴きたい人は吉祥寺マンダラ2のSOH BANDへ。センベロの田中邦和が参加している痛快ジャズロックバンドです。 いずれも場所はわかりにくいので検索してお店のサイトで確認を。 僕は両方ハシゴしたいくらいです。

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大萩康司を紀尾井で聴く(その後Webでも)

3月25日 紀尾井ホールにて。
ニッポン放送 新日鉄コンサート公開録音
PROMISSING ARTIST SERIES No.104
大萩康司ギターリサイタル

【追記】このコンサートは4月11日&18日に放送されるそうです。

blogを初めて1ヶ月と少しが経過したが、クラシックギターに関する記事を書くのはこれが初めてだ。一応僕は現状では、現代ギターというクラシックギター専門誌の"ほぼ専属"ライターなわけだが。別に避けていたわけではなくて、クラシックギターの本格的な演奏会を聴くこと自体久しぶり。元々クラシックよりジャズその他のライブに行く回数の方が圧倒的に多かったのだけど、こんなに間が空いてしまうことも珍しい。

この日は公開録音ということで、応募制の無料コンサート。実は同日開かれる医学部卒業生の謝恩会に出席の返事をしていたのだけど、その後現代ギター編集部よりチケット手配可能との連絡を受けてしまい、迷った末に謝恩会を欠席することに。医学部卒業生の皆様、ご卒業おめでとうございます&どうもすみませんでした。(ここで謝っても仕方ないが…)

で、結論を先に述べてしまうと、不義理をしてでも聴きに行く価値のある演奏会だった。プログラムで目新しかったのはマルティン<デ・ラ・ルンバ・ソン>くらいで、あとは聴きなれたものだったにもかかわらず。

最近はアンコールで弾くことの多いゲーラ<そのあくる日>を冒頭に持ってきた。短いイントロの後、テーマのメロディが始まるのだが、この出だしの部分は音数が非常に少ない。一見やさしそうに見えるが、一歩間違うと間延びしてしまう。大萩は技術的な面もさることながら、こういった部分で非凡なセンスを感じさせる、貴重な若手ギタリストだ。ギターの音は持続せず減衰するからこそ美しい。そんなことを素直に思える。

ブローウェル<キューバの鐘の鳴る風景>は久々に聴いたけど相変わらず上手いなあ。タッピングのリズムが命なんだけどばっちり。

渡辺香津美<アストラル・フレイクス>も名演の域に達していると言っていいだろう。特に中間部の難所における爆発的な推進力。この日は客席に香津美さんもおられたが、満足されたのではなかろうか。

藤井敬吾<羽衣伝説>はクラシックギターのあらゆるテクニックがちりばめられた、20分近い大作。いろんなギタリストの演奏でもう何十回と聴いているけど、聞き飽きない曲である。未聴の人はぜひ一度(CDや、後述のWebでも)。<アストラル・フレイクス>もそうだけど、純国産の現在進行形クラシックギター音楽であり、世界に誇るべき名曲だ。日本人が聴かなくてどうする。

『今の日本を生きている、我々が体験すべき音楽』 ――― それは、「現代パフォーミングアーツ入門」の大きなテーマの1つでもある。

まあそんなに大げさに考えることもない。もうちょっとわかりやすく言おうか。スペイン人の友達ができて、「ソルもタレガもロドリーゴもスペイン人だぜ」と自慢されたらどうする。「でもこういうのはスペイン人には作れないだろ」と言い返したいじゃないか。<羽衣伝説>はメロディも沖縄音階だ。

この日はトレモロ奏法の美しさが特に心に染みた。紀尾井ホールの音響のお陰もあるだろうか。こういう曲はやはり適度なサイズのよく響くホールで聴きたい。2月初めのタケミツメモリアルホール(客席数:1632)も十分響いたけど、ホールいっぱいに響き渡る感じを味わうにはこのぐらい(800席)がちょうどよい。

アンコールは失礼して歯学部謝恩会の2次会へ。


大萩君はこの公演の翌日、アメリカに飛んで29日にワシントン・ケネディセンターで演奏。その様子はなんとWeb上で生中継された上、動画ファイルとして保存・公開されている。こちらからどうぞ。1曲目が<羽衣伝説>です。珍しく終盤にブローウェル<11月のある日>、ディアンス<タンゴ・アン・スカイ>といった軽い曲を持ってきている。後者ではやや息切れが見られますな。といっても好調時の演奏を聴いているからわかるのであって、問題にならない程度だけど。アンコールの<そのあくる日>は再びリラックスして美しい演奏。

ちなみにここで演奏するのは昨年に続き2回目。昨年の公演の様子はTBS系テレビ番組「情熱大陸」で紹介されたので観た人も多いだろう。昨年のファイルもまだ観られるんだけど、今年の方が断然良いです。彼自身の進歩もあるだろうけど、やっぱりアメリカデビューってことで緊張してたのね・・・

一つだけ注文をつけるとすれば、ドメニコーニ<トッカータ・イン・ブルー>は昨年も弾いているから(昨年よりいい演奏だけど)、代わりに<アストラル・フレイクス>でも良かったんじゃないかな。もっとも、それは"業界人"としての見方。拍手も熱かったし、コンサート全体としては大成功と言っていいでしょう。

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2004.03.29

今日(29日)は鬼怒+勝井+ベネットもあるんだった

ライブ情報追加です。開演1時間半前じゃあんまり意味ないか。ギター+バイオリンの強力即興ユニット+電子パーカッション。これも大変お勧めです。新宿ピットインにて20時より。

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2004.03.28

喜多直毅+タンゴフォビクス+小松亮太

4月2日の六本木スイートベイジル公演ですが、若干キャンセルが出ているようです。詳しくは喜多さんのサイトのBBSを見て下さい。

あと30日の新橋サムデイもよろしく。喜多直毅さんが伊藤芳輝さんと共演です。

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2004.03.27

小沼ようすけソロ

3月23日 赤坂ノベンバーイレブンス
小沼ようすけソロ

現代ギター誌で新連載「アコギな仲間達〜Acoustic Guitar Guys」が始まりました。その記念すべき第1回ゲストが小沼ようすけさん。「現代ギター」はクラシックギター専門誌だけど、この連載では「非クラシックギタリストが弾くアコースティックギター」に注目します。

【追記】第1回は4月号に掲載。毎月20日発売なので、4月20日頃まで店頭に並んでいます。マニアックな雑誌なので、楽器店や大型CDショップの書籍コーナーの方が見つかりやすいかも。

小沼さんのことはもちろん実力派(あえてそう呼びたい)若手ジャズギタリストとして以前から知っていたけれど、連載を始めるにあたって「一発目はこの人しかない」と最終的に決断したのは今年1月のモーションブルーでのソロ公演。ジャズギターのソロで2ステージ(この日は入れ替えなし)聴衆を飽きさせないだけでも並み大抵のことではない。フィンガーピッキングが非常に巧いことに驚いたし、何よりアレンジやフレーズのアイディアが豊富で新鮮だった。インタビューの中でも「対位法的」という言葉が出てくるけど、和音のとらえ方が、ポリフォニック(多声的)とでもいうのかな。これってかなり「新しい領域」まで来ちゃってるんじゃないの?と僕は思うんだけど。

小沼さんのソロ演奏を聴くのはそれ以来である。もっとも印象に残ったのは「Feel like maikin' love」。小沼バンドの演奏でもお馴染みのソウル・ナンバーだ。前回のソロでも聴いたはずだが、かなり発展していた。コード進行にそってアドリブするだけでなく、テーマのメロディを残しつつパターンを変えて何度も繰り返す。即興の変奏曲みたいなものか。

この日はスチール弦のアコースティックギターを多用していた。ピックアップは内蔵いているはずだがラインは用いず外部マイクのみ。セッティングのせいなのか、響きがイマイチだったのは唯一残念な点。音色作りのために敢えてラインの音を混ぜるような工夫も必要なのかな。単なる思い付きだけど。エレキギターの音色はいつもどおり美しかっただけにそんなことも考えた。

アンコールは「昨日思いついたアレンジ」による「スペイン」。小沼さん自身MCで言っていたように、ジャズの世界ではアコースティックギターの定番曲。普通に弾いてもかっこいいんだけど、オリジナリティを追求する姿勢が嬉しい。

同伴した友人のギタリストも大喜び。「おれが薦めるものにハズレはないだろ!」と思わず自慢してしまいました。終演後はギター談義に花が咲く。

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2004.03.26

最近行ったライブ(喜多直毅+佐藤芳明+林正樹、鬼怒無月&佐藤紀雄)

時間が経つと忘れちゃうので簡単なメモだけでも。

3月19日、大塚グレコ
喜多直毅(vln)+佐藤芳明(acc)+林正樹(pf)

この3人、デュオはすべて(3通り)の組み合わせでやっているはずだがトリオは初めて。喜多さんと林さんは同じグレコでのデュオに続いて2度目の共演となる。前回、林さんは当日リハのみで喜多さんが持ってきた5拍子の曲「ジュンガルの翼」を完璧に弾きこなして驚かせたが、この日も喜多さんの9拍子オリジナル「ナオキチカリシラマ」を笑顔で弾いていた。9拍子ってそんなに難しいイメージはないかもしれないけれど、この曲はトルコのリズムに基づいているとかで慣れないとノリにくい。こんな曲を嬉しそうに弾く人はヘンタイである。もちろん良い意味で。喜多さん、佐藤さんがヘンタイなのは前からわかっていたけど、林さんもそうだったか。なんとも刺激的なセッションでした。喜多さんのMCは面白いんだけど、もう少しオチというものを考えた方がいいんじゃないだろうか(笑)。いや、たくさん笑わせてもらいましたが。


3月21日 西麻布スーパーデラックス
鬼怒無月+佐藤紀雄classic guitar duo

ついに実現した鬼怒・佐藤デュオ。佐藤紀雄さんは現代音楽の世界ではかなり有名人です。お互いのCDを聴いて関心を持ち、「いつか一緒にやりましょう」と言っていたらしい。演奏は即興演奏から。紀雄さんがいきなりバッハの一節を弾き始めて、鬼怒さんがそれに合わせて対旋律っぽいフレーズを弾いたり。紀雄さんの本格的な即興は初めて聴いたが、現代音楽で鍛えているだけあってボキャブラリーが豊富。あと鬼怒さんの作品も演奏。譜面にはリズムや一部ベース音、簡単なアドリブのアイディア・規則等が書いてある。2台のギターのシンクロや微妙なズレが心地よい。下手な「現代音楽作品」よりずっと面白いぞ。

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2004.03.25

ライブ情報(小沼ようすけ、SOH BAND、喜多直毅他)

3月末~4月初めまでのお薦めです。

3月23日(終わっちゃいましたが記録として)
小沼ようすけソロ@November11th

3月25日
金子雄太(org)&小沼ようすけ(g)@小岩COCHI

3月26日
『エル・タンゴ・ビーボ』熊田洋(p)東谷健司(b)@大泉学園inF
小沼ようすけ(g)、大槻”Kalta”英宣(ds)、松木隆志(b) @六本木alfie (03-3479-2037)
「ZAPPA FROM HELL!!」@吉祥寺Star Pine's Cafe →詳細

3月28日
東京医科歯科大学JAZZ研演奏会@東京医科歯科大学

3月29日
金子雄太(org)&小沼ようすけ(g)@高田馬場HOT HOUSE

3月30日
SOH BAND@吉祥寺@MANDALA-2
宮野弘紀(gt.)/伊藤芳輝(gt.)/海沼正利(perc.)/喜多直毅(vln.) @新橋サムデイ

3月31日
小沼ようすけ(g)、笹路正徳(p,key)、高水健司(b)、山木秀夫(ds) @横浜モーションブルー

4月1日
小沼ようすけ(g)、笹路正徳(p,key)、高水健司(b)、山木秀夫(ds) @横浜モーションブルー
Chris & Shoko Percussion Duo@六本木STB139

4月2日
喜多直毅+the Tangophobics(ゲスト:小松亮太)@六本木STB139

4月3日
ローラン・ディアンス(g)リサイタル@トッパンホール

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2004.03.23

続リチャード・ボナ

「天才」という言葉はなるべく使わないように気をつけている。

理由は明快。「天才」という言葉の持つ安っぽい響きが嫌いだからである。

goo辞書によると「天才」とは「生まれつき備わっている、きわめてすぐれた才能。また、その持ち主」とのことだが、実際にはどう使われているか、考えてみるといい。使われ方が意味を規定するなら、「または年齢の割には優れた技術を備えている人」という文言も付け加えるべきだろう。さらに「ありふれた、やや優れた才能を具体的に描写するのが面倒な際や、企業がビジネスとして売り出したい人を形容する際にも頻繁に用いられる」といった注釈もあった方がいい。

それでも、あえて(本来の意味で)「天才」と呼びたくなるような人はたしかに存在する。エレクトリック・ベースの改革者ジャコ・パスリトリアスはその一人だ。毎年、「現代パフォーミングアーツ入門」の初回はジョニ・ミッチェル「Shadows and Light」の上映と決めているけど、この傑作ライブビデオはなんといってもジャコの全盛期をとらえた映像という意味で貴重だ。歌メロに絶妙に絡みつくラインや狂気の入り混じったソロがしなやかな指さばきから生み出される様子は、何度見ても惚れ惚れする。

もっとも現在では、ジャコのテクニックや手法は研究し尽くされている。もっと指が速く動くベーシストもたくさんいる。「当時のレベルではすごかったが、今聴くと大したことない」という人すらいる。だが本当だろうか?少なくとも僕は、「ジャコを超えた」とはっきり確信できる演奏に出会ったことはない。複雑に動いてもうるさく感じさせない音選びのセンスや、ベース1本で強力なグルーヴを生み出すリズム感まで考慮すれば、ジャコと同じレベルに達しているベーシストすら皆無だろうと思っていた。ついこの間までは。

リチャード・ボナを初めて見たのは、97年のザヴィヌル・シンジケート来日公演。会場は渋谷のクラブ・クアトロで、確か6000円くらいだったかな。ブルーノートなんかで聴くことを思えば安いなあ、と思って特別な思い入れもなく行ったような気がする。そして、それまで名前すら聞いたことのなかったアフリカ人のリズム隊、パコ・セリー(dr)とボナ(b)のプレイにぶっ飛んだ。2時間以上のスタンディングがまったく苦にならなかったっけ。その後当然のごとく彼らは話題のミュージシャンとなり、特にボナの評価は高まっていった。

そして2002年。パット・メセニー・グループ(PMG)にボナが加わり来日する、という知らせに心が躍った。しかしメンバー表をよく見るとベーシストはスティーヴ・ロドビーのまま。なんとボナはコーラス、パーカッション、サイドギター等の担当だ。いくらマルチ・プレイヤーだからって、肝心のベースを弾かないなんて…。それでも、元々PMGは来日のたびに見に行っているから、躊躇する理由はない。長年ドラマーを勤めたポール・ワーティコが脱退するなど、大きく変貌したPMGに対する期待は大きかった。

ところがこのコンサート(2日間の東京公演の初日)、開始早々PAのトラブルに見舞われた。いったんPAが完全に落ちたのだろうか?一時はほとんどステージ上のアンプ類だけが鳴っているようなこもったサウンドになる。その後かなり回復するが、バランスは不自然でベースなどまったく聞こえない。こりゃないだろ、と怒りがこみ上げて来る。いくら演奏が良くても音がこれじゃあ・・・

そんなこんなですっかり気分が冷めてしまった後半に、思わぬプレゼントが用意されていた。ボナが本業のベースを手にし、メセニーとドラマー以外のメンバーが退いてギター・トリオのコーナーとなったのだ。そして始まった曲は「Bright size life」。ジャコが参加していた、メセニーの1stアルバムのタイトル曲である。つまり、ボナがジャコの役割を担うわけだ。トリオならPAのせいでベースが埋もれてしまうこともない。

興奮した。

ボナは、ほんとうにジャコが生き返ったような演奏をしたのだ。それは模倣には違いないのだが、こんなすごい模倣は初めて聴いた。フレーズだけでなくニュアンスもそっくり。ジャコ亡き今、半端なオリジナリティなんていいからジャコの生き写しみたいに弾けるベーシストがいればいいのに、と半ば冗談でよく言っていたけれど、実際に目の当たりにするとびっくりだ。

後で知ったがボナはかつてジャコに心酔し、徹底的にコピーしたらしい。その後オリジナリティに目覚めたのだという。それは歓迎すべきことだけど、才能がありすぎるミュージシャンの常として、自身のリーダーアルバムは楽曲重視でトータルなミュージシャンとしての側面を前面に出している。「そういうのも悪くないけど、もっとベースを弾きまくってくれよ」と内心思っていた人は多いはず。

そんな欲求不満を吹き飛ばしてくれたのが、我らが渡辺香津美が昨年リリースした「MoBop」だ。ベースがボナでドラムがオラシオ"エルネグロ"エルナンデス。このコンビネーションは最高だった。香津美さんにとっても、傑作アルバムを連発した80年代の勢いを彷彿とさせる快作と言っていい。野外イベント「東京ジャズ」での同メンバーによるパフォーマンスも最高。巷では直後に演奏したジョシュア・レッドマンの評価が高かったようだけど、個人的には香津美トリオがMVPである。

やっと2004年に辿り着いた。今度はボナがマイク・スターンバンドの一員として来日することに。なにせ熱血ギターのスターンである。盛り上がらないはずがない。3月18日の日本ツアー初日、久しぶりに、ブルーノート東京へ出かけた。

丁寧な応対の係員に誘導され、やや後方の席に着く。相席したのは若いアメリカ人の夫婦、アレックとダイアナ。二人ともフレンドリーで、目が合ったとたんに話しかけてくるからこちらも勢いで英会話開始。アレックは沖縄の米軍基地からノースカロライナへと転勤することになったそうだ。日本での最後の休暇を楽しんでいるところらしい。明日から京都に移動し、その後日本を離れるとのこと。ジャズは好きだと言いつつマイク・スターンのことも他のメンバーのこともほとんど知らず、東京での最後の夜にライブを聴きたい、というだけの理由でブルーノートを訪れた。開演前からテンションが上がっている僕は、調子に乗って拙い英語で解説を始める。マイク・スターンは元マイルス・グループで、ドラムのデイヴ・ウェックルはチック・コリアのバンドで有名になってね、とか。もちろん、ベースのボナはreal geniusだぞ、と念を押すことも忘れない。

演奏が始まった。予感は的中。周囲の演奏に瞬時に反応し、ものすごいフレーズを次々と繰り出すボナ。それでいて、ベースが突出することはなく、アンサンブルの一体感は損なわれない。「進化したジャコ・パストリアス」なんて形容をしても許されるんじゃなかろうか。テクニックがすべて音楽性に結びついているのだ。アレックも興奮して、「ベーシストの名前なんていったっけ?」とあらためて僕に尋ねてくる。僕はアレックに向ってまくしたてた。He is Rechard Bona, B-O-N-A. Now you understand what I said. He is a genius. This is the first night of their shows in Tokyo, and this is the last night for you in Tokyo. There is only one intersecion. You are very lucky...

ブルーノートからしばらく足が遠のいていたのは主にチャージの高さによるのだけど、本当に良い演奏ならいくら払っても惜しくはない。アンコールが終わると力の限り拍手。ステージを去るボナに自然と握手を求めた。もちろんスターンもすばらしい。このメンバーを選んだのは彼であり、これは間違いなく彼の音楽だ。最新アルバムを、そのうち買おうと思いつつ買いそびれていて良かった。会場で買うとサインがもらえるからだ。普段サインなんか興味ないんだけど、こういう日は特別である。

なお東京公演の最終日、21日はやはり超絶技巧ベーシストとして知られるビクター・ウッテンが飛び入りし、壮絶なバトルを繰り広げたらしい。自分で言っておきながら、さらなる「伝説」を見逃したかもしれない。実はこの日、立ち見覚悟でもう一度見に行こうか迷ったのだが、他にもどうしても行きたいライブが複数あり、最終的に他のライブを選んだ。ああ、こんな日は体が3つくらい欲しい。。。

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2004.03.19

リチャード・ボナはやっぱり天才だった

18日ブルーノート東京。マイク・スターンバンドfeat. Rechard Bona。
後で書き足して再UPする予定だが第一報を。
僕は「天才」という言葉をなるべく使いたくないのですが、それでも「天才」と呼ばざるを得ないような人がこの世には存在します。

「未来の伝説」を自分の目と耳で体験しましょう。21日まで。

高いけどね。
あー18日が唯一のスチューデント・ナイト(学割でチャージが半額になる日)だったのに・・・
学割は原則立ち見ですが、席が空いていれば座れるようです。昨日は学生らしき人はたくさんいたけど立ち見は少なかったので。今回は手遅れだけど、次回の参考に。

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2004.03.18

Tokyo Walkerに大泉学園inF(と喜多直毅)

大泉学園のジャズ居酒屋「inF」を礼讚する記事を書いたばかりだが、タイミング良く発売中の情報誌Tokyo Walkerに同店が取り上げられている。しかもライブステージを撮った写真の一番手前でカッコよくエレキバイオリンを弾いているのは我らが喜多さん! ピントが合ってませんが…

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2004.03.17

小沼ようすけG+押尾コータロー

16日、グリーンホール相模大野にて。先日小沼さんを取材した関係で招待していただきました。

最初は押尾ソロ。一度生で見たいと思っており、やっとその機会に恵まれた。DVDを観ていたのでインパクトはさほどでもないが、生はやはり心地よい。「マイケル・ヘッジスの真似」などと揶揄するのは簡単なんだけど。。。

ヘッジスのライブは1度だけ観た。1986年、昭和女子大人見記念講堂。「ウィンダムヒル・レーベルの夕べ」みたいなコンサート。そりゃあ強烈だった。膝がガクガク震えるような興奮を感じたのを覚えている。アンコールの「Come Together」の迫力。下手前方の席だったので、上手の舞台袖でウィリアム・アッカーマン(ウィンダムヒル主宰者でもあるギタリスト)が踊っているのが見えた。遂には我慢できなくなり、舞台に飛び出して一緒に歌うアッカーマン。当時は「ニューエイジ・ミュージック」といって、今で言う「ヒーリング系」のような位置にカテゴライズされていたけど、ほとんどロックコンサートのノリだ。

「本家マイケル・ヘッジスに比べたら・・・」などと通ぶるのも簡単。だが、数多いヘッジスのfollowerの中で彼だけが飛びぬけて成功したのは、やはり秀でたものがあったからだろう。

端的に言って、まず作曲とアレンジのセンスがいい。特にアップテンポの曲で、グルーヴが途切れない。ヘッジス同様、ロック的なかっこよさがある。「戦場のメリークリスマスのテーマ」もいいアレンジ。スチール弦の響きが曲に合っているし、タッピングも効果的に用いられている。

サビで転調する部分はやはり忠実に再現するのは無理があるのか、無理せずタッピング・ハーモニクスでそれらしい雰囲気を出していたようだ。この辺は特殊奏法を多用するギタリストにありがちなマンネリ化の問題とも繋がってくるだろう。ヘッジスも、最後まで模索を続けていたはずだ。

そしてステージングの魅力が、そうした問題をもカバーする。話芸だけではない。お約束の「一人メンバー紹介」は多様なスタイルを身に付けていればこそだろう。マニアックなソロ・ギターの世界に日の目を当てさせた功績は計り知れない。ヘッジスの来日公演だってこれほどの動員力はなかったかも。在りし日のヘッジスのことを思い、ジーンとしてしまった。僕の見たヘッジスも素晴らしいentertainerだった。彼の遺伝子はちゃんと受け継がれている。

Michael Hedges,1953-1997.

おっとまた脱線。話を戻そう。

転換のための短い休憩を挟んで小沼ようすけグループ登場。だがPAが良くない。大ホールに響く小沼さんのギターの音は気持ちいいんだけど、ベースはブンブン唸ってラインがよく聞き取れないし、ドラムはシンバル系が耳障り。まったくタイプの異なるサウンドを切り替えなきゃいけないから大変なのはわかるが、もうちょっとうまく調整して欲しかった。

小沼さんの演奏はいつも通り見事なものだったが、押尾さんの演奏で盛り上がった後だけに、(おそらく客席の過半数を占めている)押尾氏目当ての聴衆にどう受け止められたか気になるところだ。リトルクリーチャーズの鈴木正人氏(b)との共演を聴けたのは収穫だったが、ライブハウスで再度じっくり聴いてみたい、というのが正直なところ。

続いて、注目の小沼&押尾デュオ。1曲目はなんとチック・コリアの「スペイン」だった。ギターデュオの定番とはいえ、これを押尾さんが弾くとは。テーマのユニゾンはやや危なっかしかったが後は無難にこなしている。2曲目は「星に願いを」。いずれもジャズのレパートリーで、先輩(同じ専門学校出身とのこと)の押尾さんが後輩に花を持たせたといったところか。押尾さんはやや準備不足だったけど、2本のギターがきれいに響き合う部分も多く、今後に期待を持たせた。アレンジを練っていけば面白そう。

最後は小沼バンドのメンバーも加わってブルースセッション。終了は10時半近く。ロビーに終演予定時刻9時半って掲示されてたけど大嘘じゃん(笑)。休憩はごく短かったから正味3時間近くか。終演後はしっかりサイン会も。大サービスですな。お疲れ様でした。

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2004.03.16

19日は喜多直毅+佐藤芳明+林正樹のライブもあります

大塚グレコにて。 すぐ下の記事に書いたのに日付別にするとき忘れてました。ケータイからの投稿テストも兼ねて。
【追記】下のライブ情報にも追加しておきましたが、お薦めなので目立つようにこちらも残しておきます。

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2004.03.15

今週のライブ(小沼ようすけ、白崎彩子、小川銀次、アンサンブルノマド他)

やっぱり日付ごとにちゃんとまとめよう。また重複しますが。

■3/16(火)
小沼ようすけグループ、押尾コータロー@グリーンホール相模大野
【NEW】アンサンブルノマド@初台オペラシティ・リサイタルホール

■3/17(水)
【NEW】白崎彩子(pf)ソロ@代々木NARU

■3/18(木)
小沼ようすけ with AQUAPIT、featuring 太田 剣@虎ノ門JTアートホール
【追加】マイク・スターン・バンド@ブルーノート東京(21日まで)

■3/19(金)
小沼ようすけwith AQUAPIT、鈴木 正人(LITTLE CREATURES)@虎ノ門JTアートホール
【追加】佐藤芳明(acc)/林正樹(pf)/喜多直毅(vln)@大塚グレコ

■3/20(土・祝)
era(壷井彰久(vn),鬼怒無月(g))+佐藤芳明(acc)@下北沢LadyJane
トミー・キャンベル(ds) 、小沼ようすけ(g)、井上信平(fl)、グレッグ・リー(b)@青山Body&Soul
【NEW】小川銀次バンド2days@吉祥寺SILVER ELEPHANT

■3/21(日)
鬼怒無月+佐藤紀雄classic guitar duo@西麻布スーパーデラックス
【NEW】小川銀次バンド2days@吉祥寺SILVER ELEPHANT
【NEW】東京ザヴィヌルバッハ@渋谷クラブエイジア P


コメントは別につけよう。

小川銀次さんについて。
「元RCサクセション」というのが一番有名な経歴なんだけど、独自のインスト音楽を追求する超絶技巧ギタリストです。高校生の頃からファンなのだ。テクもさることながら、ギターの音色にグっとくる。ファン仲間から情報いただきました。

小沼ようすけさんのライブについて。
16日は今や大人気の押尾コータローとジョイント。両者の共演もあるそうです。曲は何やるんだろ。
18・19日はJazz in Tranomonというイベント。響きの良い室内楽用ホールですがジャズだとどうかな。
20日はトミー・キャンベルセッションに小沼さんが参加。キャンベルさんは有名ミュージシャンとの共演も多いドラマーですが今日本に住んでるのかな?あとの2人も強力。

白崎彩子さんについて。
アメリカ在住の若手女性ジャズピアニスト。「若手女性***」(しかもかなり美人)は一応疑ってみるタチなのですが、この人はメジャーレーベルの後押しを受けていないようだし、方々で良い評判を聞きます。一度は聴いてみたい。しかしすでにかなり人気があるようなので混むだろうなあ。

東京ザヴィヌルバッハについて。
坪口昌恭&菊地成孔のユニット。初期の音源(幻の限定300枚1stCD)を授業でも紹介しました。この日はイベントへの出演。以下菊地成孔さんのサイトから引用です。

サンプリング世代以降のコラージュ感溢れる生バンドを集め“Collagegroove”というコンセプトを掲げたレーベル「VERVE」のV.A.リリースパーティ(2004年3月5日リリース。坪口はフライヤーのコメントを担当。なお、渋谷タワーレコードで本コンピをお買上の方全員に、3月21日ライブのインビテーション・サービスが付きます)。対バンの『WAVE FLATS』は、TZBの自主2ndでボーカルを担当したNamihey率いるジャムバンド。VUENOS TOKYOとclubasia Pを往来自由で、TZBの出演は20時半頃から40分間

アンサンブルノマドについて。
21日に鬼怒無月さんと共演するギタリスト、佐藤紀雄さんをリーダーとする現代音楽アンサンブル。16日もプログラムはよさげなので行きたいんだけど・・・

【追加】
マイク・スターン・バンドについて。
授業で紹介した、ブレッカーブラザーズ(90年代の再結成時)やステップス・アヘッドのギタリスト。
今回はベースがリチャード・ボナ、ドラムがデイヴ・ウェックルと強力布陣。久々にブルーノート行こうかなあ。


しばらくライブ情報はこのスタイルでやってみるかな。

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2004.03.14

会田桃子Sexteto+αライブとタンゴ雑感

(注:この記事は主旨を変えない範囲で何度か改訂しています)
ライブは11日、江古田Buddyにて。

リーダーの会田桃子さんはクラシックの名門桐朋音大出身だが現在はタンゴを中心に活動している若手ヴァイオリン奏者。メンバーは20代が中心で、おそらく日本でもっとも平均年齢が若いタンゴ楽団だろう。

それにしても、本場ブエノスアイレスの一流奏者ラミーロ・ガージョ(vln)をゲストに迎えながらチャージ3000円(1ドリンク付き)である。お得感高し。ガージョさんが参加している小松亮太オルケスタ・ティピカのツアーの合間ということで実現したようだ。

ガージョさん抜きで行われた1st setの演奏について、まったく問題を感じなかった言えば嘘になる。特に小松バンドと被るレパートリーに対しては、どうしても比べてしまうし。だが会田さんのオリジナル曲やオリジナルアレンジは聴き応えがあった。途中ピアソラそっくりになる「エル・チョクロ」には思わず笑ってしまったけど、これは決して否定的な意味ではない。むしろ確信犯的にそういうことをやるセンスはけっこう好きだったりする。会田さんの演奏も着実に進歩していたと思う。

「テクニック的には自分と遜色ない」と小松さんが太鼓判を押す北村聡さん、早川純さんのバンドネオンをたっぷり聴けたのも収穫だった。さらに若手ジャズピアニストとして非常に評価の高い林正樹さん。アドリブで弾きまくって浮いちゃう部分もあるんだけど、ピアソラ5重奏団のパブロ・シーグレルだって元はジャズピアニストだ。今後が楽しみ。

そしてやっぱりラミーロ・ガージョ!

彼の個人技はもちろんのこと、一人加わるだけでアンサンブルがこれほど引き締まるものか。会田さんがMCでしきりに「一緒に演奏できて幸せ」と言っていたけど、そういうメンタルな部分の効果もあるんだろうな。

ともかく音色とフレージングがすごいです。僕は喜多直毅さんのヴァイオリンからタンゴに興味を持ったというのもあるんだけど、タンゴの一番の聴き所は実は弦楽器じゃないかと思っている。タンゴショー「フォーエバー・タンゴ」のリーダーのチェロの人もすごかった。バンドネオンももちろん魅力的な楽器だけど、少なくとも機能的にみて細かい表現力はやはり弦楽器の方が有利でしょう(楽器としての優劣じゃなくてあくまで"機能"に関してですよ)。

クラシックの人がやるタンゴしか聴いたことがない人は、ぜひ「専門家」の演奏も聴いてみましょう。

全体として、満足度の高いライブであったことは言うまでもない。値段のことも含めて。ちなみに喜多直毅+Tangophobicsに小松亮太さんがゲスト参加する4/2のライブ@STB139のチャージは6000円。安くはないけど、6000円分以上の演奏を期待させてもらおう。僕もお金払って行きますよ(注)。

(注)喜多直毅さんのライブを含め、いろいろな縁でコンサートやライブに招待していただく機会がときどきありますが、批評的な文章を書く場合、自費か招待かでは意味合いが変わってくると思うので、僕は今後は原則として招待していただいた場合はその旨を書くことにします。書いてない場合は自費です。過去にここに書いたものについては、Medeski, Martin & Woodのみ招待でした。

最後に。
この日出演した林正樹さん(pf)、早川純さんがと喜多さんが共演する大塚グレコでのライブ(それぞれ3/19と4/14)にもあらためてご注目を。

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2004.03.12

ライブ情報追加と再確認(鬼怒無月、喜多直毅etc)

またまた覚書。再掲のものを含む。
★3/20の小沼ようすけ出演ライブ追加(3/14)

今週の最大のお勧めは明日13日のBomBoco@新宿ピットインです。
富樫春生(key), 田中邦和(sax)他+ゲスト:山木秀夫(ds)

3/29(月) 新宿ピットイン
pere-furu(勝井祐二(vn),鬼怒無月(g))+サム・べネット(per)
★ありそうでなかった組み合わせ?相性良さそう。

喜多さん関係について再確認。

3月19日(金) 大塚グレコ
佐藤芳明(アコーディオン)/林正樹(ピアノ)/喜多直毅(ヴァイオリン)

3月30日(火)新橋サムデイ
宮野弘紀(gt.)/伊藤芳輝(gt.)/海沼正利(perc.)/喜多直毅(vln.)

なお13日は小松亮太オルケスタティピカ@かつしかシンフォニーヒルズ。
4月2日は喜多直毅Tha Tangophobics@六本木STB139のゲストが小松亮太さん。

以下は少し先だが。

4月8日(木) 大泉学園inF
喜多直毅(vln)/佐藤芳明(acc)/吉見征樹(tabla)セッション

4月14日(水) 大塚グレコ
喜多直毅タンゴカルテット
喜多直毅(ヴァイオリン)/早川純(バンドネオン)/飯田俊明(ピアノ)/田中伸司(ベース)


小沼ようすけさん関係再確認と訂正。

3/15 BLUES ALLEY JAPAN (03-5496-4381)
「ジャズギター三昧」
天野清継(G), 布川俊樹(G), 小沼ようすけ(G), コモブチキイチロウ(B), 石川雅春(D), SPゲスト・西藤大信(G)
★三好功郎さん出演中止。残念。

3/16 グリーンホール相模大野 (チケットMove/042-742-9999)
小沼ようすけ(g)グループ、押尾コータロー(g)
★両者のセッションもあるそうです。

(3/14)さらに追加
3月20(土)青山Body&Soul
トミー・キャンベル(ds) セッション
小沼ようすけ(g) 井上信平(fl) グレッグ・リー(b)
★こりゃすごいメンバーだ!小沼さん、いろいろやってるじゃん・・・

うーん効率が悪い。カレンダー形式の予定表を作らねば。

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喜多直毅+黒田京子@inF

ドルフィーでの南博GoThere!のライブについて「これ以上の贅沢があるだろうか?」と書いたのだが、あるとしたら、ここにあります。大泉学園inF(インエフ)。

つまりあなたが日本酒とジャズ、ないし即興音楽が好きだったら、これ以上の選択肢は考えられないのだ。

「ジャズ&地酒」

なんて素敵な響きだろう。

そして名物のおでんはもとより、生春巻き、水餃子、玄米高菜チャーハン、う巻き(鰻入りダシ巻き卵)・・・

素晴らしく美味なメニューの数々。ちなみにこの日は今年最後の「牡蠣酢」をいただいた。

至福。

オリジナリティとクオリティを極限まで追求する姿勢が、酒や料理にも現れているのだ。

何の話だ?音楽の話だった。音楽の話をしよう。

ヴァイオリニスト喜多直毅さんとピアニスト黒田京子さんによる、3度目のデュオライブ。

inFの店主、佐藤さんに喜多さんを紹介したのは僕である。それについてはちょっと自慢したい気持ちもあるのだが、黒田さんを喜多さんに引き合わせてくださったのは佐藤さん。この発想も絶妙でした。まったくもって頭が下がります。

喜多さんの即興能力はinFで開花したといっても過言ではない。CD「HYPERTANGO」に収められている喜多さんの「初フリーインプロ」(共演:鬼怒無月さん)が収録されたのもここ。

今や喜多さんはハイレベルな東京のフリーインプロシーンにおいて最も重要なヴァイオリニストの一人と言っていいだろう。それでも百戦錬磨の黒田さんと相対するときは"挑戦者"だ。その心意気がとても心地よい。

終演後黒田さんは「今までで一番よかったね」と言っておられた。喜多さんもちょっと嬉しそう。そんな音楽家どうしの、真剣勝負の場に立ち会えることは幸せだ。

さらなる幸せ。実はあらかじめピアソラの「オブリビオン」を事前にリクエストしておいたのだ。アンコールでやってくださった。期待通り。狂気と紙一重の美しさ。黒田さんのピアノ、やっぱり好きだな。

この幸せを、一人でも多くのみなさんと共有できますように。

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2004.03.10

南博GO THERE!をドルフィーで聴く

7日の記事でも触れた南博さんのサイトの日記を読んでいたら、やっぱり無性に「GO THERE!」(南博カルテット)のライブを聴きたくなった。それも桜木町ドルフィーで。新宿ピットインでは何度も聴いているけど、ドルフィーで聴いたことはまだ一度もないのだ。今回10日のピットイン公演が喜多直毅+黒田京子@inFと重なってしまったこともあり、9日に横浜まで足を延ばすことにした。

実はドルフィーに行くこと自体、この日が初めて。市川キャンパスからはけっこう時間がかる上に、出るのが遅れたので1st setの終わりごろにやっと到着。店内は想像していたよりやや狭く(だってけっこう有名な人が頻繁に出てるから)、そして想像していたほど混んではいなかった。

少し大き目のリビングルームくらいの空間でふんぞり返り、美味い酒を飲みながら、目の前で演奏されるジャズを聴く。しかもミュージシャンは一流である。多少の好き嫌いはあっても、彼らが日本のトップレベルのジャズ・ミュージシャンであることを疑う人はいないだろう。私見では日本のトップミュージシャンは世界のそれと較べても遜色ない。南さんは度々ヨーロッパで演奏しているし、ドラマーの芳垣安洋さんなど、つい先日ビル・ラズウェル(大物プロデューサー兼ベーシスト)との共演を新宿ピットインで聴いたばかりだ。

艶のあるサックスの音色が耳に突き刺さり、ドラムの振動が体の中心を揺さぶる。ベースのみアンプで増幅しているが、他は完全に生。透明感のあるピアノのタッチ(これが南さんの大きな美点)も、スピーカーを通さない直接音で聴くとまた格別である。

これ以上の贅沢があるだろうか?貴族にでもなった気分だ。もっとも、本物の貴族なら自宅にミュージシャンを招くかもしれない。だがドルフィーという空間まで持ってくるのは不可能。演奏が空間と密接に関係していることは南さんの日記からも明らかであり、ここで聴くことに価値があるのだ。

あと足りないのは・・・アレだけだな。


追記:考えてみたらこういう贅沢、独身だから可能なんだよなあ・・・無意識で「貴族」って言葉を使ったけど「独身貴族」って言い得て妙。まあ、アレについてはアレですけど。

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2004.03.08

最後の「寿歌」!?

「僕は演劇ファンではない」と前に書いたが、僕は北村想の「寿歌」(注:「ほぎうた」と読みます)を計4回観た。このことは若い「演劇ファン」にはちょっと自慢できると思う。

言わずと知れた小劇場演劇の大傑作である。北村想さん本人以外にも多くの劇団・演出家が取り上げている。最近だと田口ランディの小説「コンセント」で主人公が「寿歌」を観るシーンが出てきたりした(その部分だけ立ち読みして確認)。

核戦争後の近未来を描いた、いわゆる不条理劇である。それ以上の説明はやめておく。僕は「寿歌」の美しさを語る言葉を持ち合わせていない。中途半端な言葉で作品を汚したくないのだ。

ネオ・ゼネレーター・プロジェクトの大西一郎さんが大杉祐演出の「寿歌」をプロデュースする、という話は以前から聞いていた。やっと実現の運びになったとのことで、チラシをいただいた。驚いたのは、そこに寄せられた想さんのコメントだ。

『寿歌』は、おそらくこれで見納めであります

今後上演許可を出すつもりはないというのだ。本気だろうか。想さんの性格からして「なーんちゃって」てなことになっても驚きはしないけれど。でも本当に最後だとしたら、観ておかないわけにはいかないな。

「寿歌」
4月2日(金)~4日(日)、横浜・相鉄本多劇場にて。
作:北村想、演出:大杉祐
出演:山口雅義、赤星明光(扉座)、夕沈(少年王者館)


思い出話を一つ。

10代の終わりごろ、猛烈に好きになった女性がいた。すぐフラれたけど。彼女はいわゆる「演劇少女」であり、つまりそういう極めてわかりやすい理由で僕は芝居に興味を持ち、観るようになる。その後ひょんなきっかけで北村想さんに出会った。前後して「寿歌」を観た。感動した。「これは自慢できる」と思い、(とっくの昔にフラれていたにも関わらず)彼女に手紙を書いた。返事にはこうあった。

「寿歌、大好きです。私もキョウコ(注:寿歌のヒロイン)をやりたかった」

ああぴったりだ… それ僕も観たかったよ。

あ!

そうか、なんのことはない。僕は無意識のうちに、佳梯かこさん演じるキョウコに彼女を重ね合わせていたのだ。

なんともわかりやすい話だ。

(多少脚色があるような気もするけどほぼ実話)

追記その1: 個人的な思い入れだけで宣伝していると思われるとまずいですね。「寿歌」や作者の北村想さんについて語られた文章はネット上にもたくさんあるはずなので検索してみましょう。

追記その2: と書いた手前自分でも検索してみたところ、トランペッタ-日野皓正が76年に発表した「寿歌」というタイトルのアルバムがあることがわかりました。北村想さんは以前、「題名は山下洋輔の曲からとった」とおっしゃっていたような記憶がありますが、日野皓正の間違いだったかもしれません。

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2004.03.07

ライブ情報(太田恵資、南博、鬼怒無月、小沼ようすけ、近藤等則etc)

ただの覚書です。忘れそうなので。もちろん全部行けるわけではありません。

eEYO idiot(イーヨvo、かわいしのぶb、外山明ds、デニス・ガンg)
3/8(月)吉祥寺MANDALA-2

MASARA(高木潤一(g)太田恵資(vn)吉見征樹(タブラ))
3/8(月) 大泉学園 in F

南博GO THERE!
3/9桜木町ドルフィー
3/10新宿ピットイン
(10日は喜多&黒田@inFに行く予定なので9日に行ければ・・・)

近藤等則(tp)&山木秀夫(ds)
3/11下北沢LadyJane

佐藤通弘(津軽三味線)太田恵資(vn)吉見征樹(タブラ)
3/16大泉学園inF

era(壷井彰久(vn),鬼怒無月(g))+佐藤芳明(acc)
3/20(土・祝) 下北沢Lady Jane

鬼怒無月+佐藤紀雄classic guitar duo
3/21(日) 西麻布スーパーデラックス

金子雄太(org)&小沼ようすけ(g)
3/25(木)小岩COCHI
3/29(月)高田馬場HOT HOUSE
(小沼さんの公式サイトに載ってないのを見つけました)

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佐藤允彦「Magot Djadt?」が凄い

最近買ったCDの話です。タイトルはスペイン語のようで、正確には冒頭に逆向きの「?」が付いている。

少し前の朝日新聞夕刊にこのCDのレコーディングメンバーによるライブのレビューが掲載されており、興味を惹かれた。もっとはっきり言うと「しまった、聴き逃してしまった」と後悔した。その後渋谷タワーレコードで試聴機に入っているこのCDを聴き、あっさり購入。やっぱりライブ聴きたかった・・・

僕はたぶん、「ジャズピアノ」というジャンルがあまり好きではない。はっきりファンと自覚している「ジャズピアニスト」は南博さんぐらい。ほかに「好きなピアニスト」を挙げるなら深町純さん、沖祐市さん、エグベルト・ジスモンチなど。ともかく「ジャズ」じゃない人が多いですね。おっと黒田京子さんがいるか。でも彼女も「ジャズピアニスト」の範疇を越えた「即興ピアニスト」という印象です。

もちろんライブ等で耳にして「良いな」と思うことは度々あって、10年以上前、渡辺香津美さんのセッションに参加していた佐藤允彦さんを聴いたときにも「やっぱ有名な人だけあって上手いなー」と思ったのは覚えている。しかし、だからといってその後特に佐藤さんのライブやCDをチェックすることはなかった。

今回注目したのは、なんといってもオラシオ"エルネグロ"エルナンデス(dr)が参加していたから。キップ・ハンラハンのグループ「ディープ・ルンバ」のドラマーとして有名になった人だけど、渡辺香津美「Mo'Bop」や川嶋哲郎「Mambo Montage」での演奏にやられましたからね。ベースのカルロス・デル・プエルトはオラシオのグループのメンバーで、香津美さんのライブにもCDのリチャード・ボナに代わって参加していました。予約時には「ボナじゃないのか~」と残念に思ったけど、いざ演奏が始まってみればそんなことは忘れさせる盛り上がり。さすがの実力者で、当然オラシオとの相性は抜群。

彼らはこのところ頻繁に来日して綾戸智絵さん(vo)はじめEWEレーベルのCDや関連ライブに参加しまくっている。香津美さん、川嶋さんのCDもその流れで、正直、「佐藤允彦のアルバムに参加」という話だけ聞くと「またか」の感もあり。

ところが。

彼らはやっぱり「魔法のスパイス」だった。こんな刺激的なピアノトリオは久しぶりに聴いた。佐藤允彦さんの曲もかっこいいし。変則リズムにおけるしなやかなグルーヴ感がとても心地よい。単に複雑で手数が多いとかってことじゃないんだよな。ディープルンバやオラシオ自身のグループでは主にラテン的なグルーヴが強調されていて、こういう感覚ってわからなかった。香津美さんや佐藤允彦さんとの共演は、彼らにとっても有益だったんじゃなかろうか。

Triangulo Rebelde《トリアングロ・レベルデ》っていうグループ名もかっこいいなあ。「反逆のトライアングル」っていう意味だって。ネット検索で発見した事実を一つ。かつてキューバでカストロやゲバラが革命を目指し、シエラ・マエストラの山中に潜伏していたときに開局されたのがラジオ・レベルデ。そこの専属バンドともいうべき活動をしていたのが「キンテート・レベルデ」なんだそうな。亡命キューバ人である彼らにとって、「レベルデ」というネーミングに特別な思い入れがあるのは間違いないでしょう。

念を押すけど、僕がピアノトリオのCDを買うのは特別なことなのです。ケイ赤城さんとか菊地雅章さんのスラッシュトリオ(ds:吉田達也)とか最近話題のBad Plusとか、同じように試聴したけど気になりつつ買いそびれている。その違いは何か、何が僕の背中を押したのか、ということを説明するのは難しいのでひとまずpending。幸い「Magot Djadt?」はEWEが力を入れている新譜だからタワレコ、HMV等で試聴できます。百読は一聴にしかず。

追記:EWEのサイトで全曲の冒頭数十秒が試聴できます。まずはこちらを聴いてみましょう。

話のついでに。
やはりオラシオ&カルロスが参加しているという南博さんの新譜、早く出ないかな・・・

ちなみに南さんのサイトの「DIARY」にはレコーディングの経過や冒頭で触れたライブの感想(やはり肯定的ながら朝日の記事とはかなり印象が違うのが面白い)が書かれており興味深いです。さらに話がそれるけど南さんの文章、いいですよ。日記もだけど思い出話の部分。最近書かれた留学直前の話や、#7冒頭の恩師の話なんか泣けます。

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2004.03.06

ラ・ラ・ラ・ヒューマン・ステップスが6月に来日

します。公演情報はこちら。現在先行予約受付中。僕も行く予定なので興味のある学生は連絡してください。

僕はダンスに関しては「初心者」と言ってよく、恥ずかしながらラララ~も未見なのだけど、様々な情報(公のものから口コミまで)からまず間違いなく「当たり」だろうと確信できる数少ない公演の一つがこれ。「超高速バレエ」っていうコピーもイカしてる。フランク・ザッパの「イエローシャーク」ともコラボレーションしてるのね。簡単に言うと授業で紹介したROSASのようなレベルのものを期待していいと思います。

値段もそれなりだから、学生に勧めるのは勇気いるんですよ。それでもあえてお薦めします。

実際コストがかかっているわけで、海外有名バレエ団なんかの基準で考えれば決して高くないはず。学割とかあるといいんだけど、人気公演の場合は仕方ないですね。5年ぶりの来日ということなので完売するのは間違いないでしょう。

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Medeski, Martin & Woodのライブレポート

をRemix誌に書いたんだけど、掲載号が発売されているようです。2004.1.24、渋谷O-Eastでの来日公演。

今読み返すと文章はちょっとどうかなと思うところもあるんだけど、我ながら短い字数によく詰め込んだもんだ。読者が求めているのは主に「情報」であって抽象的な感想なんてさして重要ではない、ということだけはいつも肝に銘じて書いています。

それにしても、良いライブでした。人気No.1ジャムバンドとはいえ、ワンマンで一晩(深夜から朝まで)ダレさせずに持たせるのはさすが。体力低下でスタンディングは辛いことが多いけど(だから学生にはいつも「今のうちに夜遊びしとけ!」と言っている)、この日はけっこう最後まで元気で自分でもびっくり。

今週はあと、「現代ギター」向けのCDレビューを2本書いたり歯学部の倫理審査委員会(大学での研究が患者さん・被験者の不利益にならないよう事前に計画をチェックするもの。真面目にやってます!)に出席したり。

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2004.03.03

小松亮太&オルケスタ・ティピカに喜多直毅が参加

するらしい。

ツアーは明日4日の茨城から。
東京公演は5日の中野ZEROと13日のかつしかシンフォニーヒルズ。
どちらもチケットはまだ残っているようです。
喜多さんは今回アンサンブルの一員ということで、見せ場はさほどないかも、とのことでしたがアレンジは1曲やったそうです。なお4月2日の喜多直毅+The Tangophobics@六本木STB139は逆に小松亮太さんがゲスト。

喜多さんのヴァイオリンをたっぷり楽しみたい人は公式サイトでライブ情報をチェックしましょう。今月のセッションはどれも強力。とりあえず10日のinFは久々に黒田京子さん(pf)と共演ということで楽しみ。

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Sembelloはやっぱり最高だった

すべてが最高。4人とも最高。
他に言葉が見つからない。。。こともないのだが、某誌にレビューを書くかもしれないのでセーブしときます。

鑑賞記録:
3月2日 モーションブルー横浜の2nd set。
Sembello:田中邦和(サックス)&沖祐市(ピアノ)
ゲスト:tatsu(from LÄ-PPISCH)(b)、中村達也(from LOSALIOS)(ds)

追記。
今リンク張るためにロザリオスのサイトにアクセスしてみましたが、やっぱりタダモノじゃないですね中村達也。
名古屋ブルーノートでもやるのか・・・(15・16日)。行きたい・・・

さらに追記。

一緒に行った学生にも話したんだけど、ああいうライブの快感って記録メディア(つまりCDやビデオ)では絶対に伝わらない。いくら教室で力説してもある意味無駄なんだよな。空しいというか・・・地道な作業だな。

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2004.03.02

ついに燐光群「だるまさんがころんだ」を観た

ああ面白かった。
複数のストーリーが同時進行するので暗転が多いのだが、暗くなるたびに次のシーンはどんなだろう、とドキドキした。そんな芝居は久しぶりだ。この快感こそ芝居の醍醐味であり、極上のエンタテイメントであることは間違いない。

今回のテーマは「地雷」である。おそるべき'事実'が次々と呈示される。イラク派兵問題などは当然絡んでくる。笑える部分もたくさんあるけれど、「面白かった」では終わらない。切実なものを突きつけられる。「このままじゃいけないかもしれない」と考えさせられる。それは日本人なら誰でも考えるべきことなのだ。

当日券だったので、下手前方で舞台を横から眺める位置。お陰でヒロイン宮島千栄さんの凛とした表情を満喫できた。美しい・・・

ラストシーンは、わかっていても感動した。扇田昭彦さんがあえて書いたのも納得できる。扇田さん、文句言ってすみません。

ほんとうはこういう芝居こそ学生に観て欲しいのである。観に行ったら統計の単位やるぞ!とほんとうは言いたい。無理だけど・・・

僕はなんとかしてもう一度観に行こうと思います。上演は下北沢スズナリにて7日まで。
燐光群のサイト

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2004.03.01

Sembelloについてダメ押し(主に沖祐市さんについて)

肝心なことを書き忘れたがSembelloはサックス&ピアノのゴキゲンなデュオ・ユニットである。Sax田中邦和のことばかり書いてしまったのでピアニスト沖祐市さんについても少し。

邦和もメジャーアーチストとの共演が多くて知る人ぞ知る存在だけど、沖さんはなんといっても東京スカパラダイスオーケストラのオリジナルメンバーということでファンが多い。センベロのCDもスカパラのコーナーでよく見かけます。スカパラのライブは一度しか観たことがないのだけど、フルサイズ鍵盤のついた大きなキーボードを抱えて最前列に飛び出しソロを弾く沖さんの印象は強烈だった。後で知ったのだがその日特別テンションが高かったわけではなく、毎回お馴染みのパフォーマンスらしい。沖さん恐るべし。

とはいえ、スカパラはホーンが主役のバンドだ。はっきり言って、沖さんの魅力が炸裂しているのはセンベロの方である。僕は当初は邦和目当てでライブを観に行ったわけだが、回を増すごとにパワーアップする沖さんのピアノにもすっかりやられてしまった。テクニック面で言うと、特に左手の生み出す強力なグルーヴ感。なるほどリズム・セクションはいらないわけだ(もちろん今回のようにドラマーが加われば相乗効果でさらにすごいのだが)。そのグルーヴを維持しながら右手で自在にソロを取ったり。スカパラはメジャー・シーンの中で絶大な人気を勝ち得た稀有なインスト・バンドだが、こういう人が土台の部分にいればこそだろう。

興味深いのは、沖さんはジャズの経験が皆無であるということ。実際リズム感やアドリブ・フレーズにジャズの匂いをほとんど感じさせない。他方田中邦和は十分すぎるほどのジャズの素養を持ちつつ、ジャズ以外のフィールドで勝負しようとしている。この両者のコンビネーションが絶妙なのだ。僕と同世代(邦和も沖さんも同い年)のミュージシャンがやっているインスト音楽ってどこか80年代のジャズ・フュージョンを引きずっていることが多いと思うのだけど、センベロはそうではない。僕は80年代的な音楽も大好きだが、だからこそその安易な継承はして欲しくない。その意味でも、彼らの方向性に共感を覚える。やっている音楽は決して難解ではないけれど(むしろその対極)、これはある意味マーケットへの挑戦であり一つの実験だ。絶対成功して欲しい。

つい長くなってしまったけど、ゴタクはどうでもいいですね。
ライブはとにかく楽しい。何も考える必要はありません。
沖さんの顔に注目しましょう。幸福感に浸れること間違いなし。
ライブは今日と明日。僕は明日行きます。ああ明日が本当に待ち遠しい。

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