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2004.03.30

大萩康司を紀尾井で聴く(その後Webでも)

3月25日 紀尾井ホールにて。
ニッポン放送 新日鉄コンサート公開録音
PROMISSING ARTIST SERIES No.104
大萩康司ギターリサイタル

【追記】このコンサートは4月11日&18日に放送されるそうです。

blogを初めて1ヶ月と少しが経過したが、クラシックギターに関する記事を書くのはこれが初めてだ。一応僕は現状では、現代ギターというクラシックギター専門誌の"ほぼ専属"ライターなわけだが。別に避けていたわけではなくて、クラシックギターの本格的な演奏会を聴くこと自体久しぶり。元々クラシックよりジャズその他のライブに行く回数の方が圧倒的に多かったのだけど、こんなに間が空いてしまうことも珍しい。

この日は公開録音ということで、応募制の無料コンサート。実は同日開かれる医学部卒業生の謝恩会に出席の返事をしていたのだけど、その後現代ギター編集部よりチケット手配可能との連絡を受けてしまい、迷った末に謝恩会を欠席することに。医学部卒業生の皆様、ご卒業おめでとうございます&どうもすみませんでした。(ここで謝っても仕方ないが…)

で、結論を先に述べてしまうと、不義理をしてでも聴きに行く価値のある演奏会だった。プログラムで目新しかったのはマルティン<デ・ラ・ルンバ・ソン>くらいで、あとは聴きなれたものだったにもかかわらず。

最近はアンコールで弾くことの多いゲーラ<そのあくる日>を冒頭に持ってきた。短いイントロの後、テーマのメロディが始まるのだが、この出だしの部分は音数が非常に少ない。一見やさしそうに見えるが、一歩間違うと間延びしてしまう。大萩は技術的な面もさることながら、こういった部分で非凡なセンスを感じさせる、貴重な若手ギタリストだ。ギターの音は持続せず減衰するからこそ美しい。そんなことを素直に思える。

ブローウェル<キューバの鐘の鳴る風景>は久々に聴いたけど相変わらず上手いなあ。タッピングのリズムが命なんだけどばっちり。

渡辺香津美<アストラル・フレイクス>も名演の域に達していると言っていいだろう。特に中間部の難所における爆発的な推進力。この日は客席に香津美さんもおられたが、満足されたのではなかろうか。

藤井敬吾<羽衣伝説>はクラシックギターのあらゆるテクニックがちりばめられた、20分近い大作。いろんなギタリストの演奏でもう何十回と聴いているけど、聞き飽きない曲である。未聴の人はぜひ一度(CDや、後述のWebでも)。<アストラル・フレイクス>もそうだけど、純国産の現在進行形クラシックギター音楽であり、世界に誇るべき名曲だ。日本人が聴かなくてどうする。

『今の日本を生きている、我々が体験すべき音楽』 ――― それは、「現代パフォーミングアーツ入門」の大きなテーマの1つでもある。

まあそんなに大げさに考えることもない。もうちょっとわかりやすく言おうか。スペイン人の友達ができて、「ソルもタレガもロドリーゴもスペイン人だぜ」と自慢されたらどうする。「でもこういうのはスペイン人には作れないだろ」と言い返したいじゃないか。<羽衣伝説>はメロディも沖縄音階だ。

この日はトレモロ奏法の美しさが特に心に染みた。紀尾井ホールの音響のお陰もあるだろうか。こういう曲はやはり適度なサイズのよく響くホールで聴きたい。2月初めのタケミツメモリアルホール(客席数:1632)も十分響いたけど、ホールいっぱいに響き渡る感じを味わうにはこのぐらい(800席)がちょうどよい。

アンコールは失礼して歯学部謝恩会の2次会へ。


大萩君はこの公演の翌日、アメリカに飛んで29日にワシントン・ケネディセンターで演奏。その様子はなんとWeb上で生中継された上、動画ファイルとして保存・公開されている。こちらからどうぞ。1曲目が<羽衣伝説>です。珍しく終盤にブローウェル<11月のある日>、ディアンス<タンゴ・アン・スカイ>といった軽い曲を持ってきている。後者ではやや息切れが見られますな。といっても好調時の演奏を聴いているからわかるのであって、問題にならない程度だけど。アンコールの<そのあくる日>は再びリラックスして美しい演奏。

ちなみにここで演奏するのは昨年に続き2回目。昨年の公演の様子はTBS系テレビ番組「情熱大陸」で紹介されたので観た人も多いだろう。昨年のファイルもまだ観られるんだけど、今年の方が断然良いです。彼自身の進歩もあるだろうけど、やっぱりアメリカデビューってことで緊張してたのね・・・

一つだけ注文をつけるとすれば、ドメニコーニ<トッカータ・イン・ブルー>は昨年も弾いているから(昨年よりいい演奏だけど)、代わりに<アストラル・フレイクス>でも良かったんじゃないかな。もっとも、それは"業界人"としての見方。拍手も熱かったし、コンサート全体としては大成功と言っていいでしょう。

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Comments

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