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2004.04.19

レディオヘッド→ラクダカルテット

つくづく思うが、僕は「ロックファン」ではない。

ロックをまったく聴かないわけではない。ザッパは大好きだし、授業でも新旧いろいろ取り上げているし。ただCDにしろライブにしろ、お金を払って聴くものは限られているということ。

だからレディオヘッドの来日公演に行く理由は「自分と同世代の"天才"であるトム・ヨークを一度は生で見てやろう」というのが大きい。尾崎豊もカート・コバーンも死んだが、トムは生きたままカリスマになったのだ。

たまたま学生が誘ってくれたので、渡りに船とばかりに出かけることにした。4月18日の東京公演2日目。会場は幕張メッセ。でけー。椅子席で9000ぐらい取れるらしいので、この日のようにオールスタンディングだとその倍程度か。7500円払って集まる人がこれだけいるということにあらためて驚く。僕らは前方のAブロックだったからいいけど、Bブロックからじゃ全然見えないじゃん。

その1万数千人の聴衆の中で、僕はおそらくもっとも醒めた人間の一人だっただろうな。感想は、ひとことで言えば

「7500円取って見せるショーとしてはなかなかのもの」。

トム・ヨークはやっぱりかっこよかったし楽曲の完成度は素晴らしく高い。照明を含むビジュアル面も過剰演出でなくてよかった。右側のギターのやつは結構面白いプレイしてたな。打ち込みの使い方も面白い。

それでも僕には「7500円にしてはなかなか」という評価が精一杯である。先日知人が出演した浅草の大衆演劇を観に行って「なるほどこれで4000円は決して高くない」と思った感覚に近いかも。決して茶化しているわけではない。大衆演劇をバカにしてはいけない。エンターテイメントを極限まで追求する姿勢には畏敬の念すら覚えたのだ。

つまりこういうこと。トム・ヨークが極めて優れた才能の持ち主であることはあらためて実感したけれど、これはあくまで緻密に構成された「ロック・ショー」だ。打ち込み使用の比重が多すぎて、トムが耳に装着したイヤホンでずっとガイド音を聴きながら歌っているかと思うとちょっと萎えるというのもあったし。

なにかが欠けている、と思った。

時計を見たら7時半。開演が5時と早かったのだ。新宿まで1時間少々か。まだ間に合うな・・・

レディオヘッドとラクダカルテットをハシゴする、というバカげたアイディアは当初からぼんやりと頭の中にあった。それを実行に移しちゃうのが僕のえらいところである(笑)。ゴタクを並べるより行動で表現するライターを目指すぞ!

ラクダカルテットは元ティポグラフィカのキーボード奏者、水上聡さんをリーダーとするプログレッシヴ・ジャズバンド(勝手に分類)。他にも元ティポグラフィカのメンバーが数名参加している。

ティポグラフィカは、知る人ぞ知る、「行くところまで行っちゃった」バンドだ。リーダーで全レパートリーを作曲した今堀恒雄さんは、このバンドで生身のアンサンブルが生み出すグルーヴ感を徹底的に追求した。それは現在もCDで聴くことができるけど、ライブでの再現は不可能かもしれない(なにせものすごい練習量だったらしい)。決して行き詰まったのではない。最後まで進化を続け、ある意味"完成"して解散したのだ。それが1997年。ジジイになったら「わしはティポグラフィカの解散ライブを観たのじゃ」と自慢するぞ。マイルス・デイビスの演奏を間近で聴いたのを自慢するのと同じように。

ティポグラフィカが解散した後、「インスト音楽がどういう方向に進むべきか」ということを真剣に考えたミュージシャンは少なくないのではないかと思う。僕は勝手に「ポスト・ティポグラフィカ」っていう概念を導入してROVOやDCPRGといったバンドを結びつけて考えるのだけど(単に好きなだけか?)、ラクダカルテットはその中でもティポグラフィカのテイストがもっとも色濃く残ったバンドである。ちなみにメンバーは7人なのになぜ「カルテット」なのかは今もって不明。

結局新宿ピットインに到着したのは9時ごろで、1st setがちょうど終わったあたり。いきなり店の前でドラムの外山明さんに会って御挨拶。そう、外山さんのドラムが聴きたかったのだ。言い忘れたけどUAの新譜ぶったまげましたよ外山さん。REMIXのインタビューでUA自身「外山さんとの出会いが大きかった」と言ってるし。

ティポグラフィカでの外山さんは、他のメンバーが(アドリブパート以外は)譜面にガッチリ拘束される中で、もっとも自由な存在だったという。とにかく全然譜割りどおりに叩かない。はっきり言うとズレて聞こえるんだけど、それがメチャ気持ちいいのである。先日のコンボピアノのライブで叩いていたときもシビレまくった。とんでもないリズム感だ。ロザリオスの中村達也さんがリスペクトしている(らしい)のも頷ける。この日も大いに堪能した。

ベースも元ティポの水谷浩章さん、パーカッションがやはりティポに度々ゲスト参加していた大儀見元さんということで、リズムセクションは完璧。加えてフロントのサックスが林栄一、菊地成孔、佐藤帆という、いずれも個性的な実力者3人。タイプこそ違えど(そこがまたいい)、いずれも東京のジャズシーンの中心で大活躍する猛者たちだ。これで3000円は安いねえ。

ついでにライブ終了後、以前から気になっていたピットインそばのギョーザ屋に初めて入ったが、期待通り安くて美味かった。トムも連れてきてやりたいぞ。欲求不満は解消され、すっかりいい気分になる。トーキョーは素晴らしい街だ。ロンドンやNYCに負けてるもんか。すげーぞニッポン。

これが僕なりのナショナリズムである。てなとこでまとめようか。

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Comments

 サンセイともうします。現在、僕はティポグラフィカ中毒でして相当ティポ情報に飢えています。ティポにマイルスを見ているなんて羨ましい限りです。僕もザッパのファンでなので好みが結構近いんじゃーないかと思えてしかたがありません(凄く親近感が沸くのです)日記を読んでますと今堀さんのライブ空間を共有していますね。
 徳永さんのライブスケジュールなどを見てどのライブに行くか考えています。日記とかも興味深く読んでいるファンです。今後ともかっこいい日記を期待しております。

Posted by: サンセイ | 2005.03.03 at 12:11 AM

コメントありがとうございます。お名前と内容にピンとくるものがありましたが、その話はまたいずれ。

極論すれば、マイルスもティポも所詮は過去の音楽です(ティポはやはり特別だったかもしれない、という思いはありますが)。今そこにあるかもしれない「歴史的ライブ」を見逃すな、というのが上記リンク先に書いたコラムの最大の趣旨です。

なのに2/27のUnbeltipo trioを聴き逃してまた反省モードですが。

Posted by: tokunaga | 2005.03.05 at 02:45 PM

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