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2004.09.08

なぜ芝居を観る人は少ないのか

このblog、ご覧の通り90%以上は音楽関係の記事なんだけど、うちが駒場アゴラ劇場の法人支援会員になっているせいか、演劇系サイトfingeの「注目のウェブログ」に登録されており、そちらからのアクセスがけっこうあるようです。たまにはそっち系のネタを。

ここでも繰り返し書いているように僕は「演劇ファン」ではない。いくつかの贔屓の劇団以外で観るものは非常に限られている。アゴラの会員になっているのは教育目的が主で(その割には学生の反応は芳しくないが)、「まー(自宅の)近所だし」ってのもある。

とはいえ、80年代の小劇場ブームを学生時代に経験しており、何人かの演劇関係者との御縁もあって、非演劇ファンとしては芝居をよく観る方だろう。少なくとも常に関心は寄せている。

で、そいういう非演劇ファンとして、なぜ芝居を観る人は少ないのか、ということを考えてみよう。

結論から言えば、要するにあんまり面白そうじゃないからである

より正確に言えば、「面白そう」と思わせる情報が少ない、ということ。特別ファンではない人間が、一定のお金と時間を割いて芝居を観に出かけるというのはかなり大変なことなのだ。映画なんかの方が情報が多いから、どうしてもそっちに流れるわな。料金の違いもあるけど、一定の可処分所得がある社会人の場合、数千円のオーダーならそれほど気にしないんじゃなかろうか。「面白そう」と確信できるかどうかが大きいと思う。情報の「量」に関しては、経済規模が小さいから仕方ないけれど、問題は情報の「質」、特に作り手側から発せられるものについてだ。

つい先日も、ある劇団からEメールによる公演案内がきて、何月何日から上演します、面白い作品なのでぜひ観てください、てなことが書いてあった。

そりゃそうでしょう、作る以上は面白いと思ってやってるでしょう、みんな。そんだけでいいのか?

関係者の知り合いでもなく特にファンでもない人間が、ゴマンとある興行、芝居の中で、これを選ぶ理由が果たしてあるんだろうか。「他にアピールすべきことはないんですか?」と思ってしまうわけ。

僕はささやかながら音楽の批評や制作に携わっているので、こういうことを書くとそっくり自分に跳ね返ってくる。上の「芝居」を「ジャズ」に置き換えてもほとんどそのまま正しい主張になるだろう。マイナーなミュージシャンの観客動員力はマイナーな小劇場劇団以下である。「こんなすごい演奏をこんな少人数しか体験しないなんて!」と思うことはしょっちゅうで、その思いはこのblogを続ける原動力の一つだ。「じゃお前はどーなんだ、ちゃんと伝えているのか」と問われれば、「スミマセン」って感じである。

それでも、だ。

演劇って「言葉」が大きな比重を占める芸術でしょう。言葉できちんと伝えなくてどうする。かといってもちろん、長々と説明されたって興ざめだ。難しいのはわかるけどさ。

あなたたちの言葉のセンスを見せてくださいよ。


以下余談。
自戒を込めて言うけど、音楽ライターとか音楽評論家って、本当の意味で「言葉のプロ」と言える人は非常に少ないと思う。知識や体験を切り売りしてるだけで。

だいたいあれだ。音楽評論家の書くライナーノートってのがたいていつまらない。知識として参考になればそれでもいいけど、「こんんものいらん」と思うことも多い。真の「言葉のプロ」が書いたライナーノートが読みたい。

というわけで、10月に発売される喜多直毅「HYPERTANGO II」のライナーノートは、某劇作家にお願いしました。乞御期待。
(宣伝オチでした)

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Comments

おっしゃるとおりだなーと思います。
最近、チェルフィッチュのブログに良い意味で打ちのめされていたので、ものすごくオンタイムでした。
http://d.hatena.ne.jp/chelfitsch/20040902

連続でお邪魔してしまいました。

Posted by: しのぶ | 2004.09.08 at 08:30 AM

お返事遅くなりましたが、コメントどうもありがとうございました。もちろん実際には時間とお金を割くべき優れた芝居は少なくないわけですけど、その「良さ」を伝えるにあたっては、演劇は音楽や映画と較べてある意味ハンディを背負ってますよね。まず作り手側の言葉で伝える努力をもっとしてもらえれば、と思います。

Posted by: tokunaga | 2004.09.16 at 02:10 PM

記事の質が高いので、とても面白く読ませていただいております。
手違いでトラックバックが2回になってしまい、失礼致しました。

Posted by: もりぷとん(Moripton) | 2004.09.25 at 12:19 AM

もりぷとんさん、コメントありがとうございます。文章の質にはあまり自信がありませんが、自分なりの視点を提供していけたらな、と思います。ヴァイオリニストでいらっしゃるということは、最初は音楽関係の記事で見つけていただいたんでしょうか。私の個人的な事情により(笑)、今後もヴァイオリン関係の話題がかなり多くなると思うのでどうぞご注目ください。
トラックバックの重複分は削除しておきました。

Posted by: tokunaga | 2004.09.28 at 06:13 AM

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Posted by: http://mysteriousmiscarriage.com/node/88870 | 2014.04.07 at 07:13 AM

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