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2005.05.29

久し振りに聴いた小沼ようすけトリオの進化について手短に記録

5月28日、六本木アルフィーにて。
メンバーはギター小沼ようすけ+ドラム大槻カルタ英宣、エレキベース鈴木正人。

小沼さんのライブはちょくちょく行っているけれど、このところソロセッションが続いたのでレギュラートリオは久し振り。けっこうライブの数は多いので、トリオはいつでも聴けるし・・・と思っていたらご無沙汰してしまった。このトリオによるツアーを終えて東京に戻ってきたところらしい。

小沼さんはメジャーレーベルからコンスタントにCDをリリースしている。ジャズミュージシャンとしては、メディアへの露出がかなり多い方。それでも、小沼さんが普段ライブでどのような演奏をしているか、ということについて、十分伝えられているとは思えない。ジャズはライブが命なのにさ。というわけで、ちょっとずつでも記録しておこうと思うのでした。

この日は最新アルバム「The Three Primary Colors」からの曲が中心。このアルバム、なにせベースはリチャード・ボナという、紛れもない世界のトップ奏者。アルバムでもとんでもない演奏をしているので、小沼さんと共演するベーシストはかなりプレッシャーがかかると思う。

しかしそこは鈴木さんさすがでした。さりげなくオリジナリティを感じさせるライン。Frolickingではボナに負けじと速弾きソロも。小沼さんとのインタープレイも以前よりいっそうスムーズになった印象。

余談ならが、休憩時間にかかっていたCD、「これたぶんリトルクリーチャーズだけど聴いたことないな、ということは・・・」と思っていたらやっぱり!2nd setで小沼さんより紹介があり、リトルクリーチャーズの新譜(発売は7月)とのこと。以前青柳拓次さんにインタビューしたのがこのアルバムの録音直後で、いろいろ興味深いお話を伺ったのだ。早くも名盤の予感。

ドラムの大槻さんも明らかに変わっていた。手数が多くて音が大きいドラマー、というイメージだったのだけど、この日はずっと抑制の効いた演奏。良い意味での「軽さ」が感じられ、バランスも良くなった。

フィンガーピッキングで生み出される小沼さんの音色は相変わらず美しい。エレキギターのクリーントーンでこれほど気持ちいい音を出す人を他にあまり知らない。ピックではとうてい実現不可能と思われる、弱音の表現が見事。それでいて、ピックで弾いているかのようなレガートな速弾きもバリバリやっちゃうのだから最強だ。

あと驚いたのは「Some Skunk Fank」。ブラスのイメージが強いこの曲をギタートリオでやっちゃうとはねー。以前PONTA BOXがピアノトリオでやってたのも驚いたけど。

6月27日には同じアルフィーで、このトリオにヴァイオリンの喜多直毅さんを交えた演奏。1月の飛び入り演奏、4/7のスウィートベイジルでのセッションも素晴らしかっただけに、本当に楽しみ。

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2005.05.25

センベロSembello+熊谷和徳(タップダンス)の相性の良さに目からウロコ

モーションブルーヨコハマ2daysの1日目、2ndセットが終わってケータイより。

センベロはノリが良くてメロディが良くて音色が良い。これはもう、誰が聴いてもスカっとするサウンドだろう。あらためて実感したけれど、それは前からわかっている。

今日の新たな発見はタップダンス。連想したのはカホンだ。フラメンコや南米音楽で使われる、四角い箱みたいな打楽器である。タップも床に置いた四角い板を打ち鳴らす。そう、足で巨大なカホンを叩いていると思えばよいのだな。
(続く、かも)

覚書程度に追記。

沖さんの左手のパワフルなこと!左手のベースラインで強烈なビートを生み出しつつ、右手で自在にアドリブを取る。ジャズオルガンとジャズピアノのいいとこどりみたいな。ピアノの鳴りが素晴らしい。強い打鍵でも音色が荒れない。こういう沖さんの長所はスカパラではわかりにくいんじゃないかと思う。スカパラファンでまだセンベロを聴いたことがない人がいたら、ぜひ聴いて欲しい。

以前ここでも書いたように田中邦和氏の演奏は学生時代から聴いているのだけど、C年の頃から「音色はその辺のプロ以上」という評判だった。もちろん今ではテクは段違い、音色にもいっそう磨きがかかっている。昔はショーターみたいにブヒョー~っと吹くのが印象的だったけど、プロになってからは息のコントロールが絶妙になって、楽器が一番いい音で鳴るポイントを追究している感じ。

熊谷氏のタップダンスは「ダンス」というより、床に置いた打楽器を足で叩いて「演奏」しているイメージ。もちろん超絶技巧。打楽器奏者のいないセンベロとの相性は文句なし。

新曲が3曲ぐらいあったかな?どれも良かった。早くも次のアルバムが楽しみ。

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2005.05.20

青木菜穂子カルテット、早川純トリオ、エル・タンゴ・ビーボと立て続けに聴いて、タンゴはカッコイイという極めて単純な事実を再認識

11日に青木菜穂子、17日に早川純を聴いてタンゴが再びマイブームに。今日はinFにエルタンゴビーボ+北村聡を聴きに来ました。
(以上ケータイより)

以下本編。

逆説から始めよう。僕はこの日、大泉学園inFで絶品の水餃子を久し振りに味わい、エル・タンゴ・ビーボ(pf熊田洋, b東谷健司, ゲスト北村聡bandneon, 飛び入りゲスト会田桃子vln, 島サチコvo)のかっこいい演奏を聴きながら、「僕はやっぱりタンゴファンってわけじゃないんだよなあ」とつくづく感じたのである。

だが僕は今月、インストアライブを含めれば実に4回もタンゴのライブを聴いたのだ。月に4回以上ライブに行くタンゴファンが日本にどれだけいるだろう?そのぐらい聴けば、イッパシに日本のタンゴシーンについて語ってもいいんじゃなかろうか。というわけで以下の記事への反論は、月に5回以上タンゴのライブを聴く方に限り認めます。


って冗談ですよ。それはさておき。

発端は5月4日にヤマハ銀座店で行われた青木菜穂子(pf)さんのCD「ティエラ・ケリーダ」発売記念インストアライブ。青木さんの経歴などはそれまでほとんど知らなかったのだけど、CDを発売したのが知人であるギタリスト近藤秀秋さんが主宰するビショップレコードだったので、案内メールをいただいた。共演が会田桃子さん(vln)。青木さんはブエノスアイレスで活躍していたとのことだしヴァイオリンが会田さんならハズレはなかろう、と聴きに行く。

このときの演奏は、率直に言ってそれほど強い印象は残っていない(もしくは後述のライブの印象にかき消されたというべきか)が、これはおそらく演奏者のせいではない。この日は天気もよく、銀座の歩行者天国を背にしたヤマハ1Fフロアでのライブは気持ちよかったけど、PAはイマイチで音響的にはちょっと厳しいものがあった。

それでもCDは購入。失礼ながら動機としては青木さん本人より共演している本場ブエノスアイレスの若手トップ奏者の演奏を聴いてみたい、というのが大きかったかも。あと、レーベルオーナーの近藤さんは義理やしがらみだけでは動かないだろうから、買って損はないクオリティであるはず、という読みもあった。

予想は見事に的中して、このCDはアタリだった。買っても1回ないし2・3回聴いて終わり、というCDが多い中で、これはかなり繰返し聴いたな。アルゼンチン人の演奏は「そうそうタンゴはこうでなくちゃね」というもの。それに青木さんのピアノも良かったのである。品格を備えた適度なダイナミクスと歌心。オリジナルアレンジも良い。青木さんの師であるというニコラス・レデスマの曲も良いですな。「日本人初!エスクエラ・デ・タンゴのオーディション合格」というのがどれほどの「快挙」なのか全然ピンときてなかったのだけど、やはり現地の人と競争してその地位を勝ち取るのは凄いことなのだろう、と大いに納得。

で11日、南青山マンダラでの本格的なCD発売記念ライブにも行きたくなった。授業が終わった後、留学生との懇親会に顔を出したので遅くなってしまったが、なんとか2nd setには間に合う。共演は会田さんの他、東谷さん(b)、北村さん(bandneon)で、日本のタンゴ界から選りすぐりのメンバーと言っていいだろう。演奏は言わずもがなで、今度はPAもバッチリ(マンダラ系列はたいてい良い印象がある)。特にヴァイオリンの音は、PA次第でこうも違うものかと思ってしまう。

その次、17日はギター&ボーカルユニット「千の小鳥」が企画したジョイントライブ。対バンがERA(鬼怒無月g&壷井彰久vln)と、早川純タンゴトリオ(早川純/Bn、佐々木崇/Pf、田邊和弘/Cb)。全部興味のあるバンドだけど、特に喜多直毅+The Tangophobicsの準メンバーである早川さんのリーダートリオは楽しみだった。

これも期待以上。バンドネオン、ピアノ、コントラバスという編成はたぶん初めて聴いたけど、なかなかバランスが良い。3人とも超絶技巧と言っていいだろう。こういう最小編成だと、一人一人の存在感が際立って、大編成にはない面白さがある。リーダーの早川さんはもちろんだが、ベースの田邊さんも大迫力の演奏で、以前聴いたときより格段に良い印象。

青木さんと早川さんに共通しているのは、"伝統的なタンゴの語法"をしっかり踏まえた上に"オリジナルアレンジ"を展開しているということ。両者のバランスがとても心地よい。普段ジャズ系を中心に聴いている僕のような人間にも、「タンゴっていいじゃん!」と素直に思わせてくれる演奏である。

そしてこの日、20日は、実は最初別のコンサートに足を運んだ。招待制のコンサートで、応募したらあっさり当たったので。出演は過去にちゃんとチケットを買って聴いたこともある、かなり好きなバンド。しかし「タダ」というのが逆にちょっと引っかかっていた。ほとんどお客さんは大喜び。そりゃそうだ。本来4000円ぐらい払って聴く価値のある演奏をタダで聴いてんだもんね。さすがの演奏なのだけど、特に新鮮味があるわけではない。これって企画する側としたらどうなのさ、と思ってしまう。

誤解のないようにはっきり断っておくが、「新鮮味がない」のは過去に同じバンドの演奏を聴いているからであって、彼らの音楽性そのものはとてもユニークである。パフォーマンスとしても非の打ち所がない。他に聴きたいライブが無ければ、割り切って楽しめたと思う。

沸き返る客席の中で、「今自分が本当に聴きたい音楽は何だろう?」と自問自答。11日と17日の興奮を思い出す。そうだ、今日もinFでタンゴをやっている。しかも「オリジナル・アレンジによるタンゴ演奏」という意味では先輩格のエル・タンゴ・ビーボだ。「もし招待券が当たらなければあっちに行ってただろうな」という思いが頭をよぎる。時計に目をやり、まだ2nd setには間に合うことを確認すると、自然と足がinFに向かった。


つまりこういうことだ。

inFの水餃子は最高だと思う。そこには確かに水餃子でしか味わえない、水餃子ならではの味わいがあって、僕はまさにその「水餃子的なもの」に惹かれている。とはいえ僕は、特に水餃子にこだわっているわけではなくて、ただただ「本当においしいものが食べたい」のである。この日はそれがinFの水餃子だった。そして「inFの水餃子」ならではのオリジナリティというのも確実に存在し、中国や台湾に行ったところで、この味に出会えるわけではないだろう。水餃子は本場のものに限る、という固定観念に縛られている人はinFの水餃子を知らずに一生を終えるのかもしれないが、それはとても不幸なことだ。水餃子にとっても、その人にとっても。


おわかりと思うが、「水餃子」を アレ に置き換えても同じ命題が成り立つ。


アレというのはもちろん、


「生春巻き」である。

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2005.05.19

坂手洋二 v.s. 平田オリザ

って対決でもなんでもないのですが、同世代の二人の劇作家による作品が三軒茶屋のシアタートラムと初台の新国立劇場で同時上演中。

5月13日~22日 
まつもと市民芸術館企画製作第三弾
『いとこ同志』
作・演出:坂手洋二
出演:渡辺美佐子 串田和美 宮本裕子・佐藤アツヒロ
会場:シアタートラム http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/frame.html

5月13日~29日 

日韓友情年2005記念事業

『その河をこえて、五月』

作 : 平田オリザ/金 明和

演出 : 李 炳焄/平田オリザ

http://www.nntt.jac.go.jp/season/s262/s262.html

『その河をこえて、五月』は朝日舞台芸術賞グランプリ受賞作の再演。新国立劇場は半額の「当日学生券」があるんですね。学生は観なきゃ損。あと1500円のZ席(ただしこれはいわゆる「見切れ席」かも)もあります。いずれも枚数は限られているでしょうから早めに劇場に行きましょう。

坂手さんの方は新作で料金も高いのですが、評判はとても良いようです。朝日新聞18日夕刊に劇評が出てました。

実は僕は2作ともまだ観てないのですが・・・

観たことがない芝居を勧めるのは本当に勇気がいりますが、この二人ならまあ、ハズレはないと思います。たしか二人とも1962年生まれ。どういうわけかこの世代って優れた劇作家が多いんですね。

坂手さんの方は今週末まで。なんとかせねば!


【追記】無事2本とも観られました。いやどちらも期待通り!「いとこ同士」は終わってしまいましたが「その河~」は29日までやってます。

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2005.05.10

授業2コマ+2ステージ立見の疲れも吹っ飛ばすサイゲンジsaigenjiの歌の魔力

intoxicate@青山CAYからの帰り道にケータイより。
なんか地下鉄乗る気分じゃなくて渋谷まで徒歩。さらに駒場まで徒歩。授業が終わった後はグッタリしていたのですがね。
(続く、かも)

続き。
授業ってつまり80~90分喋り倒すので、1コマがミュージシャンの軽い1セットぐらいの労働量にはなってるんじゃなかろうか。最近はパワーポイントを使うようになり、座ってやろうと思えばできるのだけど、つい立ってしまう。

で夕方2コマ目が終わって一服してから青山CAYへ。開演時間が20時と遅めだったので余裕の到着だったけど、客席前半分のみに設置された椅子席はすでに一杯。もうちょい早く来れば良かったか。開演時には立見も一杯。今回はマデリン・ペルーという女性シンガーとのカップリングで、彼女が先でした。

マデリン・ペルーについては予備知識ほぼゼロ。ギター弾き語り+ピアノ(orオルガン)+ドラム+ベースという編成でちょっとレトロな雰囲気。歌い方はビリー・ホリデイとリッキー・リー・ジョーンズを連想させた。もっと洗練された感じだけど。微妙な歌いまわしに味があって耳に心地よい。

がしかしこれ、立って聴く音楽じゃないよ。。。
ゆったりテーブルに着いて、グラス傾けながら聴けば最高でしょうね。途中で疲労が限界になり。隅へ逃げて壁にもたれる。セットチェンジの間にいったん外に出て軽く腹ごしらえ。

戻ってみると、サイゲンジが始まっており焦る。お馴染みのキャロル・キングのカバー、「it's too late」。いや序盤からグイグイきますなー。最初PAが良くないな、と思ったけど、なぜか人が減ったので前の方に割って入ったらそうでもなかった(ただしギターの音量が小さいのは×)。

僕はそもそもインスト中心に聴いてるし、ボーカルを聴くとしたら女性が多い。同性(男)の声聴いても気持ちよくなれんよなー、と思うことが多いのだけど、サイゲンジは数少ない例外である。美声という感じでもないけど、なんでしょうねこれは。

もちろん巧さもある。さりげなくホーミーを使ったり、口パーカッションも見事。自然に出てくる感じで、これみよがしなイヤラシサがないんだな。意識的にテンションを上げようとしているのがわかってしまうと逆に冷めてしまうことが多いのだけど、この人の場合はおそらく「天然」である。

ギターも巧い。普通に和音を刻んでいても、優れた打楽器奏者のようなグルーヴを感じさせる。PAの人もその辺を理解してバランス調整して欲しいものだ。この日はバンド編成だったけど、またソロも聴きたいなあ。

さらには曲の良さ。この日は1時間少々のステージだけど、2ndCDで一番好きな「海のそばに」と3rdCDで一番好きな「雨の匂い」が両方聴けたのは嬉しかったな。サイゲンジはどうしても「ブラジル音楽系」のイメージが強いのだけど、これらの曲は全然「ブラジル音楽風」ではない。固定観念を捨てて聴いて欲しいものだ。新曲もなかなかの出来映えで、ブラジルで録音してきたという新譜の発売が楽しみ。

自分でも驚いたが、ライブ終盤には立見がまったく苦にならなくなっていた。足が自然にステップを踏む。その勢いで徒歩で帰宅(所要時間30~40分くらい)。

しかしマデリン・ペルーが終わって帰っちゃった人はナンだろう?招待券で来てたんですかね。お金払うともったいなくて最後まで聴いちゃうもんだと思うけど。人生の大切な出会いを逃してますね。

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2005.05.08

群像新人賞評論部門優秀賞に水牛健太郎氏「過去 メタファー 中国--ある『アフターダーク』論」

友人の水牛健太郎氏が表題の賞を受賞しましたので、個人的なお祝いの意味も込めてお知らせまで。Webでの発表はこちら

受賞作は5月7日発売の「群像」6月号に、選考委員の講評等と共に掲載されています。内容は村上春樹の小説「アフターダーク」を主題とした評論。過去の村上春樹作品との関連も含めて書かれているので、何冊か読んだことのある人なら面白く読めると思います。

小説部門の方ばかり注目されがちですが、評論部門も柄谷行人や中島梓を輩出しているのですね。

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2005.05.06

森山威男という生ける伝説に立ち向かう佐藤芳明の男気に痺れる

5月6日、桜木町ドルフィーにて。

GWとはいえ大学はカレンダー通り。授業が終わってぐったりし、そろそろ帰るか・・・と思っていたところを学生に質問で捕まる。さほど時間は取られなかったけど、結局大学を出た時刻は1st setの最後に間に合うかどうかというところ。

普通なら桜木町(横浜)まで出向く気力は無くなってしまうところだけど、この日は井上淑彦(ts)&森山威男(ds)SESSIONなのである。井上淑彦(ts),音川英二(Ts,Ss),多田誠二(As)という、これ以上考えられないような贅沢な三管。さらにアコーディオンの佐藤芳明が加わる。佐藤さんと森山さんの共演は一度観てみたかったのだ。

結局1stセットには間に合わず。でも立見も覚悟した割りにはほどよい混み具合で、なんとか座れた。お客さんは50人弱か。こんな狭い空間でこのメンツ。贅沢だなあ。チャージわずか3500円(予約の場合)ですよ。翌日も同じメンバーでやって、2日通し券が6000円。

「生ける伝説」なんて書いちゃって我ながらちょっと安易かな、とも思うのだけど、百聞は一見にしかず。少々ジャズを聴きかじっている人でも、森山さんの演奏を初めて目の当たりにしたら衝撃を受けるはずだ。1945年生まれというから今年でちょうど還暦か。これがもし「全盛期を過ぎた」演奏なのだとしたら、その「全盛期」とはどんな恐ろしいものだったのか?

前回新宿ピットインで観たとき、MCで「円熟なんてのは、歳を取って手数が減ることを言うんですよ」と言って笑いを誘っていた。確かに手数は多い。だけどむやみに連打しているわけではなくて、常にフレーズを感じさせるんだな。バラードでの伴奏も見事だし。

腕の振りがすごくきれいだな、というのは前から感じていたのだけど、今回気付いたことの一つに、指の使い方がある。レギュラーグリップの左手で握ったスティックを、腕はおろか手首すらほとんど動かさずに、ほぼ親指だけで振り下ろしている部分があった。それでいてすごくタイトなスネアの音。手首のスナップだけで、というのはわかるけど指だけであんな音が出せるとは。つまり肩から指先に至るまでのすべての筋肉がバランスよく鍛えられ、活用されているわけですな。スポーツ医学とかやってる人に解析してもらうと面白いんじゃなかろうか。

で、そこに挑む佐藤さんである。以前から時々ゲストに呼ばれていて、音川英二さんのCD「存在~New & Old Wonder」でも共演しているけど、この大編成にアコーディオンって、そんな無謀なことを誰が考えたのか?

普通に考えればアコーディオンは、音圧ではピアノやサックスに負けてしまう。僕は佐藤さんの演奏を聴くようになって「アコーディオンって面白い楽器だけど音色的に弱いよなー」という偏見が払拭されたのだけど、それでも「無茶でしょう」と言いたくなる。一緒に鳴らしたらほとんど埋もれちゃうもんね。

実際、やはりちょっと厳しいよなあ、という場面もあったのだけど(誤解のないように再度念を押しておくと、メンバーは皆日本のトップミュージシャンである)、そういう状況で格闘するミュージシャンを観るのもまた、ライブの大きな楽しみの一つ。もちろん佐藤さんも負けてはいない。得意技「高音域+口笛ユニゾン」で存在感を発揮してたし、森山さんのドラムに煽られて白熱する(というか必死の?)ソロも期待通り。7月にはピアノレスカルテットへの参加もあるようで、こちらも楽しみだ。


ちなみに森山さん、後で調べたら5/4~5/7は「4days 5plays」ということで、前日の5/5は昼に大阪で「伝説の」山下洋輔トリオ再結成ライブ、夜は東京の六本木アルフィーでライブ。やっぱバケモンだ・・・

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2005.05.04

ライブ・公演情報(青木菜穂子、中村達也&田中邦和、佐藤芳明、Sembello、内橋和久、喜多直毅、黒田京子、竹之内美穂他)

5月4日
■青木菜穂子(p)インストアライブ@銀座ヤマハ
*共演:会田桃子さん(vln)

5月5日
■森山威男dsTRIO 田中信正p 井上陽介b@六本木アルフィー
■西尾健一(Tp)CD発売記念ライブ@新宿ピットイン
*ギター関根彰良さん参加。

5月6日
■井上淑彦&森山威男SESSION@桜木町ドルフィー
*佐藤芳明(acc)参加。

5月7日
■金子雄太(org)、荻原亮(g)、藤山"E.T"英一郎(ds) @お茶の水NARU
■中村達也ds(LOSALIOS) Tatsu eb 田中邦和sax@六本木アルフィー
*入替制でチャージ5775円ですが、狭いアルフィーでこのメンツなら仕方ないですね。
■井上淑彦&森山威男SESSION@桜木町ドルフィー
*佐藤芳明(acc)参加。

5月8日
■佐藤芳明(acc)GROUP@調布GINZ
*Sax:音川英二 B:鳥越啓介 Per:岡部洋一 ゲスト Ds:岩瀬立飛

5月10日
■COIL@江古田バディ
*中山努(kb)参加でますます強力になったインストロックバンド。
■マデリン・ペルー/saigenji@表参道CAY
*毎回ユニークなラインナップのタワレコ主催イベントintoxicate #15。

5月11日
■内橋和久g、八木美知依:箏@大泉学園inF
■小沼ようすけソロ@赤坂ノベンバーイレブンス
■青木菜穂子(p)CD『ティエラ ケリーダ』発売記念ライヴ @青山MANDARA
*青木さんは本場ブエノスアイレスで活躍した若手タンゴピアニスト。CDでは現地の一流ミュージシャンと共演。ライブでの共演は会田桃子さん(vln)、北村聡(bandneon)、東谷健司さん(b)ら日本のトップミュージシャン。CDも良かったので特にお薦めしますがこの日はどれに行くか迷う~

5月12日
■荻原 亮(G)・金子 雄太(Org)・藤山"E.T."英一郎(Ds)@関内KAMOME
■アルカイック(仙道さおりper+林正樹pf)@大宮JAM
■eEYO idiot(イーヨ(Vo)デニス・ガン(g)かわいしのぶ(B)外山 明(Ds))@吉祥寺マンダラ2

5月13日
■ラクダカルテット@新宿ピットイン
■レオナルド・ブラーボ(g)コンサート@要町GGサロン

5月14日
■ティーンエイジャーコンサート2005@第一生命ホール
*高校生が中心になって企画したハープ吉野直子さんのコンサート。

5月16日
■内橋和久g、高橋悠治p、ジーン・コールマンb-cla@新宿ピットイン

5月17日
■千の小鳥、ERA、早川純bandoneonタンゴトリオ@渋谷青い部屋

5月20日
■『エル・タンゴ・ビーボ』熊田洋(b)東谷健司(b)北村聡(バンドネオン)@大泉学園inF

5月21日
■お茶の水管弦楽団定期演奏会@ミューザ川崎

5月23日
■黒田京子p、太田恵資vln、翠川敬基cello@大泉学園inF

5月24日
■今堀恒雄g unbertipo Trio(ナスノミツルb、佐野康夫ds)@表参道FAB

5月25日
■Sembello@モーションブルー横浜

5月26日
■喜多直毅(vn)黒田京子(p)@大泉学園inF
■Sembello@モーションブルー横浜
■渥美幸裕(G)グループ@桜木町ドルフィー
*松木隆志(B)参加。

5月27日
■竹之内美穂(g)コンサート@要町GGサロン
*徳永はCDのライナーノート書いてます。

5月29日
■おおたか静流vo、黒田京子p、喜多直毅vln@下北沢LADY JANE
■miggyディミニッシュ@池の上BOBTAIL
*医科歯科ジャズ研部長本田君(b)出演のジャズライブ。

5月30日
■井上淑彦(ts,ss)&林正樹(p)DUO@大泉学園inF

5月31日
■鳥越啓介(b),田中栄二(ds)鬼怒無月(g)@大泉学園inF

6月1日
■定村史朗(Ac.& El.Vln)、今泉正明(pf)、納 浩一(b)、本田珠也(ds)、三好功郎(g)、大儀見元(per)@六本木スウィートベイジル139

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2005.05.03

ペペ・ロメロPepe Romeroとマーティン・フォーゲルMartin Forgelに見るクラシックギターの現在

とたまにはエラソーなタイトルを付けてみたりして。

なんのことはない、4月24日のペペ・ロメロと4月29日のマーティン・フォーゲル&キキ柏木のコンサートがどちらもとても楽しめて、かつ対照的だったので。

4月24日はローザスのフィルムを観た後、初台オペラシティへ。前回の来日は99年かな。たしか日本にいなくて聴き逃したので今回こそ、と。

といいつつ、チケットは買っておらず、当日券。この辺に微妙な心情が表れている。まあタケミツ・メモリアルホールなら完売はないだろう、という読みもあったわけですが。

つまり好きではあるけど自分が聴きたい音楽の「ど真ん中」ではない。だってプログラムは最後の1曲を除いてありきたりだし。縁起でもないけど、元気なうちに一度は見ておきたい、という程度。ベテランとはいえ60くらいだからまだ老け込む歳でもないし。

が、感動してしまった。不覚にも。「ありきたり」のアルベニスやタレガで。「セビリア」やアンコールの「グラン・ホタ」は今後自分の中で「最高レベル」の基準になる演奏だな。ビラ・ロボスのプレリュードも良かった。あまり期待していなかったセレドニオ・ロメロの曲(唯一の「ありきたり」でない曲)も面白かった。テクニックの衰えはまったく無く、壮快なスケール速弾きと豪快なラスゲアドを堪能。ミスも皆無で音色も表現もパーフェクト。ケチの付けようがない。「クラシック最高!ゲンダイオンガク?あんなのデタラメ弾いてるだけだろ」とか勢いで言っちゃいそうだ。

聞くところによれば、もう何年も同じプログラムで世界中を周っているらしい。キャリアからして、決してレパートリーが少ないわけではないはずなので、確信犯ですな。古典落語の名人芸を味わうようなものか。

ちなみに席は3階C席前方。上からステージを覗き込む感じだったけど、よく聴こえて音響の問題はなし。これで4000円というのはなかなかのコスト・パフォーマンス。

でも、今回良かったから次の来日では気合入れて1万円のSS席を取るか、というとたぶん取らない。「1万円ならこのぐらいは当然」とか思って感動が薄くなるかもしれないし(笑)。

いや冗談ではなく。同じくクラシックギターの巨匠、ジョン・ウィリアムスの来日公演のとき、試しに1日目は一番安い6000円の席、2日目は10000円のS席前方を買ってみたけど、実際そういう感じでした。


対して、4月29日の「キキとマーティンの音楽会」@セシオン杉並は絶対に聴き逃したくないコンサート。

でもやっぱり当日券なのだけど・・・これは自由席だったのと、やはり完売はないだろうという読み(ごめんよマーティン。。。)と、さらにおそらく実質自主コンサート(主催は彼らのCDを発売しているホマドリーム)でやりくりは大変だろうから敢えて当日料金の差額を払ってもいいやという気持ちもあり。

プログラムは滅多に聴けないものばかり。フェビアン・レザ・パネ作曲「織り成す魔法の踊り」(ギター&ピアノ)は鈴木大介さんによる初演を聴いたけど、こういうのはなかなか再演されないもの。リョベート編「カタロニア民謡」(ギターソロ)はマーティン得意のレパートリーで、彼の初来日のときにも聴いて感動したもの。彼はこういうのほんとに上手い。

そしてマッキー作曲「フィジカル・プロパティ」はエレキギター+弦楽四重奏(エラン弦楽四重奏団)という編成自体が珍しい。エレキギターはディストーションのかかった音色で、ちゃんとロックの語法がちりばめられている(つまりタイトルはツェッペリンの「フィジカル・グラフィティ」に引っ掛けてますね)。変拍子だらけで弦楽パートも難しそう。若いカルテットのようだけど、大したものだなあ。さすが喜多直毅さん阪田宏彰さんと同じ国立音大出身である。芸大や桐朋は疑うくせに国立と聞くとつい贔屓してしまいそうになる私は変でしょうか。でも古くは山下洋輔、梅津和時といった超個性的なジャズの巨匠も輩出しているのだ。なにかあるぞ国立。

おっと話がそれた。主役のマーティン・フォーゲルさんだけど、また彼がエレキギター似合うんだな。体型もスリムだし。さすがイングウェイを生んだスェーデン出身、って関係ないか(ちゅーかイングウェイはもはや体型的にはアレか)。でもピックでの速弾きやライトハンド奏法もこなしていたし、副業でロックギタリストやったら・・・などと真面目に考えかけてしまった。

ここまでが第1部で、2部はキキ柏木さんによるプロコイエフ「ピーターと狼」のピアノ弾き語り(!)。「弾き語り」と言っても「弾く」部分は「語り」と(シンクロはしているけど)独立した作品になっているわけで、脳ミソこんがらがりそう。「歌+伴奏」の弾き語りとは別種の難しさがあるはず。ちなみに鈴木大介さんもblogで絶賛。演奏と語りはもちろんそれ自体上手いのだけど、同一人物が語りながら弾くことで、より気持ちがこもって聴こえる効果もある。全国の小学校とか回って演奏して欲しい、とこれは本当に真面目に思った。お見事でした。

こういうのはもちろん、3000円(前売り料金)でお得感満点のコンサート。

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