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2005.05.03

ペペ・ロメロPepe Romeroとマーティン・フォーゲルMartin Forgelに見るクラシックギターの現在

とたまにはエラソーなタイトルを付けてみたりして。

なんのことはない、4月24日のペペ・ロメロと4月29日のマーティン・フォーゲル&キキ柏木のコンサートがどちらもとても楽しめて、かつ対照的だったので。

4月24日はローザスのフィルムを観た後、初台オペラシティへ。前回の来日は99年かな。たしか日本にいなくて聴き逃したので今回こそ、と。

といいつつ、チケットは買っておらず、当日券。この辺に微妙な心情が表れている。まあタケミツ・メモリアルホールなら完売はないだろう、という読みもあったわけですが。

つまり好きではあるけど自分が聴きたい音楽の「ど真ん中」ではない。だってプログラムは最後の1曲を除いてありきたりだし。縁起でもないけど、元気なうちに一度は見ておきたい、という程度。ベテランとはいえ60くらいだからまだ老け込む歳でもないし。

が、感動してしまった。不覚にも。「ありきたり」のアルベニスやタレガで。「セビリア」やアンコールの「グラン・ホタ」は今後自分の中で「最高レベル」の基準になる演奏だな。ビラ・ロボスのプレリュードも良かった。あまり期待していなかったセレドニオ・ロメロの曲(唯一の「ありきたり」でない曲)も面白かった。テクニックの衰えはまったく無く、壮快なスケール速弾きと豪快なラスゲアドを堪能。ミスも皆無で音色も表現もパーフェクト。ケチの付けようがない。「クラシック最高!ゲンダイオンガク?あんなのデタラメ弾いてるだけだろ」とか勢いで言っちゃいそうだ。

聞くところによれば、もう何年も同じプログラムで世界中を周っているらしい。キャリアからして、決してレパートリーが少ないわけではないはずなので、確信犯ですな。古典落語の名人芸を味わうようなものか。

ちなみに席は3階C席前方。上からステージを覗き込む感じだったけど、よく聴こえて音響の問題はなし。これで4000円というのはなかなかのコスト・パフォーマンス。

でも、今回良かったから次の来日では気合入れて1万円のSS席を取るか、というとたぶん取らない。「1万円ならこのぐらいは当然」とか思って感動が薄くなるかもしれないし(笑)。

いや冗談ではなく。同じくクラシックギターの巨匠、ジョン・ウィリアムスの来日公演のとき、試しに1日目は一番安い6000円の席、2日目は10000円のS席前方を買ってみたけど、実際そういう感じでした。


対して、4月29日の「キキとマーティンの音楽会」@セシオン杉並は絶対に聴き逃したくないコンサート。

でもやっぱり当日券なのだけど・・・これは自由席だったのと、やはり完売はないだろうという読み(ごめんよマーティン。。。)と、さらにおそらく実質自主コンサート(主催は彼らのCDを発売しているホマドリーム)でやりくりは大変だろうから敢えて当日料金の差額を払ってもいいやという気持ちもあり。

プログラムは滅多に聴けないものばかり。フェビアン・レザ・パネ作曲「織り成す魔法の踊り」(ギター&ピアノ)は鈴木大介さんによる初演を聴いたけど、こういうのはなかなか再演されないもの。リョベート編「カタロニア民謡」(ギターソロ)はマーティン得意のレパートリーで、彼の初来日のときにも聴いて感動したもの。彼はこういうのほんとに上手い。

そしてマッキー作曲「フィジカル・プロパティ」はエレキギター+弦楽四重奏(エラン弦楽四重奏団)という編成自体が珍しい。エレキギターはディストーションのかかった音色で、ちゃんとロックの語法がちりばめられている(つまりタイトルはツェッペリンの「フィジカル・グラフィティ」に引っ掛けてますね)。変拍子だらけで弦楽パートも難しそう。若いカルテットのようだけど、大したものだなあ。さすが喜多直毅さん阪田宏彰さんと同じ国立音大出身である。芸大や桐朋は疑うくせに国立と聞くとつい贔屓してしまいそうになる私は変でしょうか。でも古くは山下洋輔、梅津和時といった超個性的なジャズの巨匠も輩出しているのだ。なにかあるぞ国立。

おっと話がそれた。主役のマーティン・フォーゲルさんだけど、また彼がエレキギター似合うんだな。体型もスリムだし。さすがイングウェイを生んだスェーデン出身、って関係ないか(ちゅーかイングウェイはもはや体型的にはアレか)。でもピックでの速弾きやライトハンド奏法もこなしていたし、副業でロックギタリストやったら・・・などと真面目に考えかけてしまった。

ここまでが第1部で、2部はキキ柏木さんによるプロコイエフ「ピーターと狼」のピアノ弾き語り(!)。「弾き語り」と言っても「弾く」部分は「語り」と(シンクロはしているけど)独立した作品になっているわけで、脳ミソこんがらがりそう。「歌+伴奏」の弾き語りとは別種の難しさがあるはず。ちなみに鈴木大介さんもblogで絶賛。演奏と語りはもちろんそれ自体上手いのだけど、同一人物が語りながら弾くことで、より気持ちがこもって聴こえる効果もある。全国の小学校とか回って演奏して欲しい、とこれは本当に真面目に思った。お見事でした。

こういうのはもちろん、3000円(前売り料金)でお得感満点のコンサート。

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