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2005.05.06

森山威男という生ける伝説に立ち向かう佐藤芳明の男気に痺れる

5月6日、桜木町ドルフィーにて。

GWとはいえ大学はカレンダー通り。授業が終わってぐったりし、そろそろ帰るか・・・と思っていたところを学生に質問で捕まる。さほど時間は取られなかったけど、結局大学を出た時刻は1st setの最後に間に合うかどうかというところ。

普通なら桜木町(横浜)まで出向く気力は無くなってしまうところだけど、この日は井上淑彦(ts)&森山威男(ds)SESSIONなのである。井上淑彦(ts),音川英二(Ts,Ss),多田誠二(As)という、これ以上考えられないような贅沢な三管。さらにアコーディオンの佐藤芳明が加わる。佐藤さんと森山さんの共演は一度観てみたかったのだ。

結局1stセットには間に合わず。でも立見も覚悟した割りにはほどよい混み具合で、なんとか座れた。お客さんは50人弱か。こんな狭い空間でこのメンツ。贅沢だなあ。チャージわずか3500円(予約の場合)ですよ。翌日も同じメンバーでやって、2日通し券が6000円。

「生ける伝説」なんて書いちゃって我ながらちょっと安易かな、とも思うのだけど、百聞は一見にしかず。少々ジャズを聴きかじっている人でも、森山さんの演奏を初めて目の当たりにしたら衝撃を受けるはずだ。1945年生まれというから今年でちょうど還暦か。これがもし「全盛期を過ぎた」演奏なのだとしたら、その「全盛期」とはどんな恐ろしいものだったのか?

前回新宿ピットインで観たとき、MCで「円熟なんてのは、歳を取って手数が減ることを言うんですよ」と言って笑いを誘っていた。確かに手数は多い。だけどむやみに連打しているわけではなくて、常にフレーズを感じさせるんだな。バラードでの伴奏も見事だし。

腕の振りがすごくきれいだな、というのは前から感じていたのだけど、今回気付いたことの一つに、指の使い方がある。レギュラーグリップの左手で握ったスティックを、腕はおろか手首すらほとんど動かさずに、ほぼ親指だけで振り下ろしている部分があった。それでいてすごくタイトなスネアの音。手首のスナップだけで、というのはわかるけど指だけであんな音が出せるとは。つまり肩から指先に至るまでのすべての筋肉がバランスよく鍛えられ、活用されているわけですな。スポーツ医学とかやってる人に解析してもらうと面白いんじゃなかろうか。

で、そこに挑む佐藤さんである。以前から時々ゲストに呼ばれていて、音川英二さんのCD「存在~New & Old Wonder」でも共演しているけど、この大編成にアコーディオンって、そんな無謀なことを誰が考えたのか?

普通に考えればアコーディオンは、音圧ではピアノやサックスに負けてしまう。僕は佐藤さんの演奏を聴くようになって「アコーディオンって面白い楽器だけど音色的に弱いよなー」という偏見が払拭されたのだけど、それでも「無茶でしょう」と言いたくなる。一緒に鳴らしたらほとんど埋もれちゃうもんね。

実際、やはりちょっと厳しいよなあ、という場面もあったのだけど(誤解のないように再度念を押しておくと、メンバーは皆日本のトップミュージシャンである)、そういう状況で格闘するミュージシャンを観るのもまた、ライブの大きな楽しみの一つ。もちろん佐藤さんも負けてはいない。得意技「高音域+口笛ユニゾン」で存在感を発揮してたし、森山さんのドラムに煽られて白熱する(というか必死の?)ソロも期待通り。7月にはピアノレスカルテットへの参加もあるようで、こちらも楽しみだ。


ちなみに森山さん、後で調べたら5/4~5/7は「4days 5plays」ということで、前日の5/5は昼に大阪で「伝説の」山下洋輔トリオ再結成ライブ、夜は東京の六本木アルフィーでライブ。やっぱバケモンだ・・・

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