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2005.07.28

日本語ポップスの新しい領域に挑戦し続けるガレージシャンソンショー(山田晃士&佐藤芳明)の情熱的なステージに胸を打たれた

7月28日、渋谷DUOにて。

山田晃士(vo)と佐藤芳明(acc)によるポップスユニット、ガレージシャンソンショーの2ndCD発売記念リサイタル「狂歌大全集」。ゲストが杏子(vo)、後藤まさる(per)、喜多直毅(vln)と実に豪華。

いやもう抱腹絶倒のステージ。そしてアンコールの全員セッションではジーンときちゃいました。続きはまた。

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2005.07.26

モントリオールの若き才能Antoine Berthiaumeが初来日で見せてくれた期待通りのハイレベルなパフォーマンスについて、しっかり記録を残しておきたい

7月26日、代官山クラシックスにて。つづきはまた。

つづき。

99年にカナダ・モントリオールに住んだとき、やっぱりライブハウスには行きまくった。東京では世界的にはほとんど無名だけど「世界レベル」にある、もしくはその素質を持った素晴らしい日本人ミュージシャン達が日夜ライブを繰り広げている。同じようにモントリオールでも、無名の優れたカナダ人ミュージシャンがライブをやっているに違いない。そしてせっかくモントリオールに住むのだから、モントリオールでしか聴けないそんなミュージシャンのライブをぜひ観たい。そう考えたのだ。

そうやって、目をつけたミュージシャンの一人こそ、今回初来日したAntoine Berthiaume。いつか国際的に活躍して、日本でもCDが買える日が来るに違いないと思っていたけれど、その日は意外と早くやってきた。1年前くらいだったかな。

お茶の水のディスクユニオンで見つけたこれです。なんとデレク・ベイリー、フレッド・フリスという即興演奏の大御所との共演盤。あれれ~モントリオールで聴いたときは、バリバリの「コンテンポラリー・ジャズギター」だったのに!「ジョンスコあたりが好きなんじゃない?」って彼に話しかけた記憶があるんだけど。
(まだづづく)

(続き)
いかん、トップページから消えてしまう・・・
この日、対バンしたギタリストの近藤秀秋さんが、御自身が主宰するレーベルBishop Recordsのサイトの日記に詳細な論評を書いておられますのでご一読を!

近藤さんはミュージシャンならではの鋭い視点で書いておられ、批判的な側面も含め概ね納得できる内容です。

ひとつ付け加えるとすれば、僕が感心したのは音色の美しさ。スプリングやスティックなどの道具を使って様々な音を出すのだけど、「フリージャズ」という言葉で一般に想起されうようなギャーっという暴力的な音は一切無し。すべての音が耳に心地よい。かといって生ぬるい、退屈なサウンドにはならない。「普通に」弾くときのタッチもすごく繊細でテクニックを感じさせるし。最後まで集中して聴くことができた。

一方で「もう少し危険な領域に・・・」という近藤さんの意見もよくわかる。上で「暴力的な音」という表現を使ったけど、別に否定的な意味ではない。月並みな結論だけど、要はバランスの問題なのだと思う。僕が大好きな内橋和久さんはその辺りのセンスが絶妙だし。この日は「声の音楽」がテーマだったから仕方ないのだけど、近藤さんとアントワンのデュオなんてのも聴いてみたかったなあ。

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2005.07.24

サイゲンジとセンベロの初共演という歴史的瞬間に立ち会う幸福

銀座よりケータイにて。MOODSTOCKというイベント。えーとお店の名前何だっけ。いやースゴカッタです。
僕にサイゲンジのことを教えてくれたのはセンベロの田中邦和君(学生時代からの友人)。いつかこの日が来るとは思っていたけれど!

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2005.07.22

青木菜穂子のタンゴピアノは手元に注目

22日、大泉学園inFにて。青木菜穂子(pf)、会田桃子(vln)、北村聡(bandneon)というトリオ。

小さなライブハウスならではの大きな楽しみの一つは、奏者の手元を間近でじっくり観察できること。思うに、「タンゴっぽく弾いているピアニスト」と本格的なタンゴピアニストでは手つきが違う。青木さんの"指さばき"には惚れ惚れしてしまいます。この日は席がピアノ側だったこともあり、他の奏者がメロディを弾いているときにもつい目がいってしまった。

続きはまた。

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2005.07.20

林正樹と堀越彰のデュオなんてそりゃ素晴らしいに決まってるじゃん、と思ったらやっぱり素晴らしかったので、心の中で軽くガッツポーズ

大泉学園inFよりケータイにて。

来て良かった〜

続き。
若手イチオシのピアニスト、林正樹さんと、知る人ぞ知る超実力派ドラマー堀越彰さんのデュオなのである。見逃しちゃいかんでしょう!

堀越彰さんの演奏で、素人目にもすぐ気付くのは演奏フォームの美しさ。腕の動き、スティックの描く軌跡がほとんど芸術的。映画で観る中国拳法の達人を思わせる。これは師匠筋にあたる村上ポンタ秀一さん(たしか堀越さんはポンタさんのローディをやっていたことがあるはず)にも通じるところがある。ポンタさんは「勝手に見て盗め!」という主義らしくてあまり「教える」ことはしないらしいのだけど、堀越さんはしっかり「盗んだ」ということか。僕の知る限り森山威男さん、ポンタさん、堀越さんの3人が動きの美しい日本人ドラマーベスト3です。

そして堀越さんのドラムは、月並みな言い方だけど本当によく"歌う"。比喩的な表現じゃなくて、本当にメロディを奏でているみたい。デュオという形態だと、その辺はより顕著に現れる。激しく叩いてもうるさくないんだよなあ。

堀越さんが一躍名を挙げたのは、山下洋輔カルテットでの演奏だろう。僕は2001年のリユニオンのとき聴いたのだけど、そりゃあすごかった。この年もっとも印象に残るライブの一つでした。もうひとつ忘れられないのはピアニスト深町純さん、ヴァイオリン渡辺剛さんとのトリオ。ピアソラのナンバーをいくつか演奏したのだけど、「タンゴにドラムは合わない」という先入観を覆された。ピアソラ自身がドラムを入れた編成を試したこともあるけど、はっきり言って成功してない(これは"定説"だと思う)。少なくともありがちな定型リズムはタンゴに合わないのだ。入れるとしたら、堀越さんみたいなセンスを持ったドラマーが必要だった。

というわけでクドイけど、そんな堀越さんと林さんのデュオは素晴らしいに決まってるんですよ。なんでもうちょっとお客さん来ないかね。自分で言うのもなんだけど、こういうライブに来た客というのは勝ち誇っていいんじゃなかろうか。

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2005.07.17

最高のロックギタートリオは?と問われればアルタードステイツと答えるし、最高のジャズギタートリオは?と問われればやっぱりアルタードステイツと答える

渋谷nestにてケータイより。先ほどアルタードステイツの演奏が終わったところ。

昨日のUAバンドに続いて内橋和久さんのギターを堪能。やっぱかっちょええー

続き。

表題はつまり、僕がロックやジャズに何を求めているか、という話である。ジャンルの定義付けをしたいわけではない。

ロックといえば和田アキラさんみたいなキレのある速弾きギターも大好きなんだけど、ジミヘンやジミーペイジは速弾きなんかしなくたってかっこいい。それを支える、重たくてグルーヴ感のあるリズム。そこら辺を徹底的に追求していくと、最後はアルタードステイツみたいになるのではないか。いやマジで。

一方で、アルタードステイツのライブ演奏はほぼすべて即興である。「ほぼ」というのは、初期のライブ盤では同じモチーフが別のトラックに出てきたりするから。おそらく今はそれもやっていなくて、完全に「出たとこ勝負」。

それでいてマンネリにならないし、リズムが変化するタイミングやエンディングもビタっと決まるし。長年一緒に演奏してきたこの3人ならでは。おそらく初めて聴く人は、すべて即興とは信じられないのではないか。別に「即興のように聞こえない演奏」を目指しているわけではなくて、自然にそうなっているのだけど(というのは僕の解釈だけど、間違ってないと思う)。

綿密に練り上げられた複雑なアンサンブルの魅力というのもあるけど(その究極がティポグラフィカや菊地成孔さんの最近のバンドか)、中途半端に決め事を作らず自由な即興演奏をやって、それがすごくかっこよかったらそれも最高じゃん。ジャズの魅力が即興性にあるとすれば、その一つの究極的な姿でもあると思う。

あとはやっぱ内橋さんのエフェクター操作の妙技ね。ディレイ・ループをリアルタイムで加工する人も今では珍しくないだろうけど、このバンドは「反応速度」が尋常じゃなくて、緊張感がたまらん。

ちなみにこの日トリを飾ったNATSMENというバンドも非常に良かった。やはりリズムが強力で、ブラスも入った8人編成のインストバンド。全然知らなかったけどすでにかなり人気あるようで、なかなかの盛り上がり。なんだみんなインスト好きじゃん。

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2005.07.16

UAの歌声よ内橋和久のギターと共にウィーンまで届け

日比谷野音よりケータイにて第一報。これよりアンコール。

しかしこのバンド、JPOP史上稀に見るユニークな編成だな。

続き。
バックのメンバーは以下の通りです。楽器はメンバー紹介のときアナウンスされたものに基づいていますが、他にも使ってたかも。

内橋和久(ギター、ダクソフォン)
青柳拓次(ギター、大正琴、ボーカル)
関島岳郎(チューバ、リコーダー)
大野由美子(ミニムーグ、スチールドラム、ボーカル)
高良久美子(マリンバ、ビブラフォン、パーカッション)
新谷祥子(マリンバ)

開演前、ステージ上にマリンバがセットされているのを見て、「おー高良さんね」とすぐ察しがつく。関島さんのチューバは最新アルバム「Breathe」でも特徴的に使われており代替不可能ということか。2ndギターの青柳さんは遠目には最初わからなかったけど、UAとのデュエット曲歌ったところで判明。大野さんも20日にサントリーホールで共演するのでまあ予想の範囲内(でもスチールドラムできるとは知らなかった!)。

新谷祥子さんだけ最後に紹介されるまでわからなかったなあ。パーカッションDUO「クリス&祥子」の祥子さんですよ。最近クリスさん(クリストファー・ハーディ)の演奏を聴く機会が多くて祥子さんの方はご無沙汰していたけど、こんなところで見られるとは!

今回、内橋さん以外のメンバーはまったくわからなかった(発表されていなかったらしい)。前回のツアーで大活躍した外山明さんが参加しないということは外山さんのスケジュールからわかっており、ドラムレスというのは予想がついた。しかしベースも無しとは!マリンバ2台というのも想像できなかった。高良さんは一部パーカッションも叩いていたけれど、ほとんどは新谷祥子さんと絡んでマリンバ×2またはマリンバ+ビブラフォンという展開。

「Breathe」がほぼ内橋さん一人でバックトラックを作ったアルバムだったから、生バンドで再現する際に特殊な編成になるのは仕方ないとしてもここまでとはね。安易にキーボード奏者を入れて音を埋めようとしなかったところがすごい。翌日のライブでお会いした内橋さん曰く「大変やったわ~ようけ譜面書いたで」。そりゃそうでしょう。

前回のツアーで外山さんのドラムを初めて生で聴いて衝撃を受けた人も多かったようで、一転してドラムレスってどう受け止められるのだろう、とやや心配も。今回はどっぷり内橋色だしなあ(だからこそ僕は楽しみにしていたわけだが)。でもキーワード「UA 野音」でざっとblog検索した限りではまずまず好評だったようで、一安心。

僕はといえば1曲目でUAの歌声に内橋さんのギターが切り込んだ瞬間にジワっと来てしまった。ほとんどミーハー状態なので客観的にレビューできる自信がないぞ。しかしリズム楽器の比重が極端に少ないことで、UAのボーカルがより際立って聞こえる効果はあったように思う。やっぱいい声してるよなあ。コーラス的に絡む大野由美子さんもきれいな声。青柳さんの歌もCDのときより上手いぞ(笑)。

ミーハーといいつつ冷静に聴いている面もあって、惜しいと思った点もいくつか。まず1日限りの特別編成ということで、一体感や微妙なノリの部分において完璧とは言いがたかったように思う。特に序盤は。「breathe」で一番好きな「Niji」は2曲目に演奏され、「え、もうやっちゃうの」と思っているうちに終わってしまったので物足りないような、もったいないような感じ。野外ということで、PAもホールの場合より難しかったようだ。

変わった編成とは言っても一人一人に明確な役割があって、聴いているうちにこのメンバーが「必然」だったと思えてくるから面白い。このバンドでツアーに出て、また東京に戻ってきたら最高なんだろうけど。しかし内橋さんによれば、全員のスケジュールを押さえるのが不可能とのこと。残念。いつか再演して欲しいぞ。

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現代ギター7月号「渡辺和彦の音楽問わず語り」には頷ける部分も多いけれど

音楽評論家・渡辺和彦氏による現代ギター誌連載コラムの今月号の内容は「熱狂の日---音楽祭が突きつけた音楽の100円ショップ」と題し、主にコンサートチケットの価格に関する話題。

途中CDの価格についても言及されている。「日本のCDは高すぎる」とフンガイしている公務員に対して「あなたの給料もね」と言い返したという。消費者の購買力を無視して絶対的な価格だけで「高い」「安い」を論じるのは意味がないということ。付け加えるならば、全体的な物価水準も考慮すべきだろう。僕は数年前、カナダにしばらく住んだことがあるけれど、生活費は大雑把に言って東京の約半分という感じだった。対してCDは(日本と違って値段にかなりバラツキがあるが平均的には)東京で買う輸入盤よりちょっと安い程度で、思ったほど安くないな、という印象。

「CDが1枚3000円もするなんて暴利を貪っている」という感情論も困りものだ。デタラメなコスト計算によって「暴利」と勘違いしているケースは論外だが、そもそも自由主義経済において利益追求を否定するのは間違っている。生活必需品じゃないんだから、高すぎると思うなら買わなければいい。安くした方が売り上げが伸びて儲かる、ということになれば自然に値段は下がるはず。再販制度はあるにしても、定価の設定はレコード会社の自由なのだから。

とはいえ、物事はそう単純ではないし、日本市場特有の問題点は認識しているつもりなので、細かいツッコミはご容赦願いたい。かいつまんで述べると、3000円のCDが高すぎるというより、ハンで押したように一律3000円前後(国内盤の場合)だったことが最大の問題なのだと思う。この点は現在ではいくぶん改善されており、たとえばジャズだったら実力派日本人ミュージシャンを多数擁するEWEレーベルは2000円台前半のラインナップがかなり豊富だ。インディーズ系も2500円前後の価格設定をするところが少なくない。「3000円」に文句をつけてきた人達は、こういったレーベルにこそ注目して欲しい。

本題のコンサートチケットの話に戻ると、渡辺さんも記事中で「音大を卒業したばかりの・・・(中略・すなわち若手演奏家)のリサイタル料金までがなぜ中堅クラスと同じ3000円前後に設定されるのだろう」と指摘し、若手に対して「1500円でチャレンジしてはどうか」と提案しておられる。一方で「コンサートの入場料金を下げれば客は増えるのか。話はそう簡単にはいかない」ということもあらかじめ言及しておられる。さらには「(値段を下げるためには)スポンサーを見つけなければならない」とも。ここまでまったく異論はない。

単純にチケットの値段を下げるとどうなるか。これも渡辺さんが書かれている通りで、売り上げが減るだけである。有名な演奏家、テレビで取り上げられた演奏家に対して喜んで高いチケット代を払う人は多いが、無名演奏家の経歴やコンサートプログラムを詳しくチェックして「これは"買い"だ」と思ってくれる人は極めて少ない。下手をするとナメられる。すなわち「安かろう悪かろう」と思われてしまう。

で、そうならないように、無名の実力者に対しても正当な評価を与えるのが音楽ジャーナリズムの一つの大きな役割でしょう。スポンサー獲得においても、有力者の推薦があるのとないのでは全然違うはず。渡辺さんが「これは」と思う奏者が実際に「1500円でチャレンジ」する気概を持っていたならば、「お墨付き」を与えて後押しして欲しいと思う。また、後押ししたくなるような若者をどんどん見出してクローズアップして欲しい。僕みたいな無名ライターが「この演奏家に注目しないなんてバッカじゃーねーの!?」と吼えたところで大して効果はないだろうけど、渡辺さんのような名のある方なら違う。ぜひ率先して行動していただきたいものだ。もちろん僕の気付かないところですでにやっておられるかもしれないし、そうであることを願う。

もちろんこれは渡辺さんに限った話ではなく、音楽ジャーナリズムに関わるすべての方々に対して言いたいことだ。「後押し」にもいろいろなやり方があるだろう。皆(プロアマ問わず)簡単にできることから始めればいいのではないか。このblogだって、ごく微力でもなにかのタシになれば、と思う次第。


蛇足ながら、渡辺さんのコラムの結びに「ついでに若い音楽評論家の卵よ。私のような既存のダメ評論家にひと泡吹かす意味で、価格破壊原稿料で業界に殴り込みをかけてはどうか。」とあるのはレトリックとしては面白いけど、失礼ながら業界の実情を無視しているように思う。無名ライター・評論家達は「価格破壊」などするまでもなく、すでに買い叩かれているのではないか。

それに、少なくとも僕には「ひと泡吹かそう」なんて類の対抗心はこれっぽっちもないからなあ。

「既存のダメ評論家」(渡辺さんはもちろん謙遜されているだけで該当しない)についてはせいぜい、いい文章が書けなくて落ち込んだときに「この人よりは多少まともなことが書けそうだからがんばろう」と元気を出させてもらう意味で意識する程度である。

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2005.07.11

村治奏一の新しい伝説は横浜から始まる、なんて言ったら少々大げさかもしれないけど

たまには数学の話でも。今日11日は前期月曜5限の選択科目「離散構造」の最終日。ずっと原書(英語の簡単な教科書)の輪読をやってきたのだが、先週で予定の範囲が終了したので最後は講義をやることに。

僕の専門に近い「グラフ理論」という分野なのだけど、初歩から始めて細かい定義などは適宜省略しながらケンペによる「4色定理の証明」までを一気にしゃべり倒す。

かなり無茶である。だが自慢じゃないけど東大と偏差値が大差ない我が大学の優秀な学生達はちゃんとついてきてくれるのである。ありがたいことだ。「うまく喋ろう」などとは考えずに、自分が面白いと感じることをただひたすら熱く語る。これが実に気持ちよい。僕はカラオケが苦手なのだけど、おそらくカラオケ好きな人が持ちネタを思う存分熱唱した後の爽快感にも勝ると思う。

ちなみに「4色問題」は1976年に解決されるまで有名な未解決問題の一つだった。ケンペによる「証明」は巧妙な「間違った証明」の例として知られており、「証明」が終わった後に「さてどこが間違っていたでしょう?すぐ答え言っちゃうとつまんないからしばらく考えてね、じゃあサヨナラ」と言って締めくくるのがいつものパターン。

というわけで気の毒な学生達は最後の最後でスッキリしない状況に放り出されるのだが、こちらはスッキリして一路横浜へ。神奈川県民ホールでクラシックギター界期待の星、村治奏一君のCD発売記念リサイタル。

開演時刻にすべりこみセーフ。意外と空席が多いのにまず驚く。先月18日にミューザ川崎シンフォニーホールで東京交響楽団と「アランフェス協奏曲」演奏してコンチェルト・デビュー、月末にはNHK「トップランナー」に出演。一気にスターへの階段を駆け上るのかと思いきや、そう簡単にいくものでもないらしい。

奏一君は姉の佳織さん同様、物心がつく前からギターに触れ、父・昇氏による早期教育(ただし"英才教育"とはちょっと違う。その辺は昇氏の著書参照)を受けている。指が速く動くのなんか当たり前。タンスマンの難所でもコロコロとなめらかに転がるがごとく音楽が流れていくのが心地よい。

今回個人的に特筆すべきと思ったのはデュージャン・ボグダノビッチの作品。4月に来日した、あのデュージャンである。新譜にも収録された「3つのアフリカン・スケッチズ」と「ジャズ・ソナチネ」が演奏されたが、いずれも非常にイキイキとした快演だった。デュージャン・ファンとしては独特の響きとリズムを持つ彼の作品に共感を持って演奏してくれる若いギタリストの登場はそれだけで嬉しい。

デュージャン作品には、近年人気のあるディアンス、ヨークらの作品のようなわかりやすい派手さはないが、それを補ってあまりある美しさと複雑な(ゆえに心地よい)グルーヴを内包している。ただし音符をただなぞっても全然「音楽」にならないと思う。他の現代作品を演奏するときとは違ったセンスが要求されるはず。デュージャン本人の演奏はもちろん見事だが、奏一君の演奏はこれまでに聴いた本人以外による演奏の中で出色のものだった。「ジャズ・ソナチネ」のラスト、バルトーク・ピチカートが太い音色でバシッと決まると「イエーィ!」と叫びたくなる気分。これを聴き逃した横浜のギターファンはもったいなかったね。

思えば3年ほど前、すでにCDデビューしてしばらく経った大萩康司君のリサイタルを同じ神奈川県民ホールで聴いたときも、空席が多くて驚いた。しかし演奏はやはり素晴らしかった。神奈川県民ホールは若手ギタリストにとって鬼門なのか?「横浜不入り名演伝説」誕生か!?

て縁起でもないですね。もちろんそんなのは一時的な現象でしょう。もしかすると東京・横浜で続けて公演する場合、横浜の方が手薄になる傾向があるのかも。今回は13日高松、14日徳島、16日大阪、24日広島と続いて最後が26日東京(三鷹)。お近くの方はぜひチェックを。

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再び東京国際ギターコンクールについて

昨年書いたこれに関連して、日本ギター連盟の意見が(ライター宮林淳さんの投稿への回答という形で)現代ギター7月号に掲載されました。さらによく探してみると日本ギター連盟のサイトにも一連の経緯や今後の対応について話し合われた座談会の記録が掲載されていました(ここ)。

日本ギター連盟事務局長・宇賀神昭氏による説明の要点は以下の通り(筆者が現代ギター記事より要約):
●自由曲提出リストは申し込み時にチェックしたところアルベニス、グラナドスなどの作品(筆者注:すなわち明らかに「19世紀オリジナル作品」の規定に反すると思われる曲)で申し込んだ人もいたのでそれらの申込者に対しては変更を申し伝えた。
●しかしGoさんが選んだパガニーニ作品はギターパートのみを弾くなら違反ではない。「編」とあってもediton の場合とarrangeの場合があり、参加者の良識を信用して編曲ではないと解釈した。
●規定違反が判明したのは当日審査委員の進言による。
●(次回以降について)「機構側のチェック体制を強化し、前回に比して同様に慎重に行うこととする事を皆さんに確約いたします」(「」内原文のまま)


以上を踏まえた上で、さらなる疑問点や感じたことを箇条書きにします。

■韓国人であるGoさんは日本語で「阿部保夫編」と記入して申し込んだのか?英語ではなかったのか?

■「阿部保夫編」と称する、「編曲」でない当該曲の譜面が出版されているのか?仮に出版されていたとしても、パガニーニの2重奏曲のギターパートのみをコンクールで弾くことは不自然ではないのか?(注:当該曲はギターが伴奏というよりメインなのでギターパートのみを弾くことがあり得ないわけではないが、「コンクールで敢えてそんな選択をするのは不自然ではないか」という意味) チェックした人、リストに目を通した関係者はそういった疑問を一切感じなかったのか?すなわち「この人は規定を誤解しているのではないか」、さらに「この人はこのままだと失格になっちゃうかも」と考えなかったのか?それとも、そう思いつつ本選が始まるまで何のアクションも起こさなかったのか?

■たとえばもしアルベニス自身が作品をギター用に書き直した譜面が存在すればそれは間違いなく規定に反しないだろう。もちろんそんなものは多分存在しない。だが100%存在しないと言い切れるのか?「常識」的にはそうだ。でも「阿部保夫編のパガニーニ・グランドソナタ」といったら編曲に決まっている、という「常識」だってあるかもしれない。どこまでが「常識」か、というのは客観的に線を引くことはできない。やはり不公平ではなかったか。

■ともかく、申し込み内容のチェックは行っており、GOさんの申し込みもチェックを通過していることが明らかになった。そして(これは非常に重要な点だけど)GOさんは虚偽の申告をしたわけではないから、手続き上の落ち度は皆無である。GOさんがわざわざ「阿部保夫編」であることを付記したのはむしろ「編曲ですけどいいですよね」と念を押す意味ではなかったのか?繰返しになってしまうけど、一度チェックを通過したものが失格になるとしたら、チェックした側のミスということにならないか?やっぱり後から問題にするのはおかしいのではないか?問題にせざるを得ないとしても、責任をすべてGOさん側に押し付けるのは不誠実とはいえないか。

■申し込み時のチェックを通過してしまったことはひとまず置いておくとしても。筆者の理解が間違っていなければ、第2次予選終了後、予選通過者は本選自由曲の楽譜のコピーを主催者側に提出する。少なくともこの時点で厳密にチェック可能なのだから、すればよかったのに。再度強調するけど、演奏前にチェック可能なことを演奏が終わってから問題にするのはいかがなものか。もしくは失格になることがわかっていて演奏前にそれを指摘しないのはいかがなものか。

■とはいえ、これも繰返しになるけど、もっとも大事なのは今後の対応だろう。日本ギター連盟による次回のコンクール案内で
「自由曲は、独奏曲であること。コンチェルトのカデンツァは1曲として認めない、また、申請後の曲目変更及び追加は出来ない。当日、申請曲を演奏しない場合、自由曲が記述に沿っていない場合、及び演奏時間がいかなる時間であっても規定に満たない場合は失格。」
(http://www.guitarists.or.jp/compulsory-j.html より)
との注意書きが付記されたのは評価できる。しかしこれの英訳が
「Free choice program is a Solo pieces only. Titles of free program must be written on the application form. No change nor addition to your program will accepted after the registration. Please respect carefully the time limit. you will be disqualified if you break the rule. The Japanese version will be the valid one in case of doubt in the interpretation of the rules. 」
(http://www.guitarists.or.jp/compulsory-e.html より)
となっている。最後にわざわざ「日本語優先なんで翻訳違ってたらゴメンネ」(超意訳)みたいなことが書いてあるが、「コンチェルトのカデンツァは1曲として認めない」という部分の英訳を省略しなくてもいいのに。現にかつてビラ=ロボスの協奏曲のカデンツァを自由曲として弾いた人もいるけど(村治佳織さんとか)、今後は規定違反になるらしい。これってけっこう重要な変更じゃないの?

最後に。

日本ギター連盟は現代ギター誌上で「チェック体制を強化」すると明言した。そこで以下のように提案したい。

(1)予選前のチェックにおいては規定に適合するか否かの判断は行わない(誰がチェックしているかは公表されておらず、責任の所在が不明確になるから)。楽譜の版が不明な場合のみ申込者に問い合わせ、必要なら楽譜のコピーの提出を求める。

(2)自由曲が規定に適合するかどうかのチェックは一次予選審査時に、審査員が行う。一次予選通過後に選曲における規定違反が発覚しても不問とする。

小川和隆さんも座談会の中で指摘しているように、どんなに規定を詳細に記述しても、わからない人はいる。というか、グレーゾーンは存在する。たとえば俗に「ブローウェル編」と言われるピアソラ「天使の死」など、編曲というよりはピアソラ作品を引用して作り上げた新たな「オリジナル作品」とする見方もある。そこは誰かが責任を背負って判断するしかない。第一次予選(すなわち録音による審査)に限定したのは海外からの応募者への配慮。誰から見てもフェアなシステムで、かつ「来日してみたら規定違反だった」という悲劇を無くすにはこれしかないと思うんだけどなあ。

この記事もコメントは受け付けないことにしますので、ご意見・ご要望があれば徳永まで直接お願いします(メールアドレスはプロフィールのページに)。トラックバックは受け付けることにしますが、独断で削除することもありますので悪しからず。

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2005.07.03

ここらで最近のライター活動について

現代ギター7月号:沖仁さんのインタビューとCDレビュー2枚。
ジャズ批評7月号:4月7日のデュージャン、小沼ようすけ、喜多直毅ライブレポート。
intoxicate(タワレコ発行のフリーペーパー):ライブイベントintoxicate#15のレポート(出演はマデリン・ペルー&saigenji)

intoxicateはまあタダですし、タワレコに行けば確実に手に入るのでどうぞご覧ください。他の2誌は大きな書店でないとないかも。現代ギターは楽器屋さんに置いてあることが多いですが。

あと執筆活動意外では、Bishop Recordsのサイト青木菜穂子さん(p)を迎えた座談会に参加。

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2005.07.02

ライブ・公演情報(菊地成孔、佐藤芳明、鬼怒無月、内橋和久、小沼ようすけ、喜多直毅、燐光群、弘前劇場他)

7月2日
■miggy+@神田TOKYO TUC
■佐藤芳明accdソロ@西荻窪・音や金時
■Fonte(g 小畑和彦, fl 中川昌三, per 安井源之新)@表参道プラッサオンゼ

7月3日
■本田珠也ds、大友良英g、菊地成孔sax、ナスノミツルb@新宿ピットイン

7月5日
■デュオ・アストル@日経ホール
*クラシックギターデュオ

7月6日~17日
■燐光群『上演されなかった『三人姉妹』@新宿・紀伊国屋ホール

7月7日
■菊地成孔saxとぺぺ・トルメント・アズカラール(南博p、水谷浩章b、北村聡bandoneon、徳沢セイゲンcello、大儀見元perc、他)@代官山UNIT

7月8日
荒川洋(fl)&マーティン・フォーゲル(g)@代々木上原ムジカーザ

7月10日
■phonolite(水谷浩章(B)竹野昌邦,松風鉱一(Sax)松本 治(Tb)MIYA(Fl)橋本 歩(Cello)中牟礼貞則(G)外山 明(Ds)他)@新宿ピットイン
■デュオ・ウエダ@GGサロン
*クラシックギターデュオ

7月11日
■梅津数時sax、佐藤芳明accd@大泉学園inF
■村治奏一(g)@神奈川県民ホール

7月12日
■eEYO idiot(内橋和久g、中原信雄b、外山明ds)、PERE-FURU@吉祥寺マンダラ2
■『Pot Heads』佐藤芳明(acc)鳥越啓介(b)田中栄二(ds)@大泉学園inF
■antoine berthiaume(G)fromN.Y、加藤崇之(G),板倉克行(P)、さがゆき(VOICE)他@横浜エアジン

7月13日
■鬼怒無月g、中山努kb、西嶋徹cb、則竹裕之ds@桜木町ドルフィー
■太田恵資vln、石川浩司perc@大泉学園inF

7月14日
■新井伴典(g)&佐藤真由(fl)@市谷ルーテル

7月15日
■BONDAGE FRUIT、隠者の森(カルメン・マキvo、桜井芳樹g、松永孝義b、太田恵資vln)@初台DOORS
■PIKA DON 2005 近藤等則tp&programing、今堀恒雄g、小島良喜kb、DJ高田tt、鶴谷智生ds@新宿ピットイン

7月15日~18日
■弘前劇場『ケンちゃんの贈りもの』@駒場アゴラ劇場

7月16日
■UA(内橋和久g、他)@日比谷野音
■黒田京子(p)太田惠資(vn)翠川敬基(vc)@大泉学園inF

7月17日
■ALTERED STATES@渋谷NEST

7月18日
■ERA+常味裕司oud@下北沢レディジェーン

7月20日
■UAの童謡コンサート “うたううあ”(外山明ds、内橋和久g、他)@サントリーホール
■林正樹(p)堀越彰(ds)@大泉学園inF

7月21日
■壺井彰久vln、鳥越啓介b、佐藤芳明accd@船橋きららホール
■太田惠資(vn)喜多直毅(vn)仙道さおり(per)@大泉学園inF

7月22日
■三橋美香子vo、内橋和久g、太田恵資vln、梅津和時sax@吉祥寺マンダラ2
■会田桃子(vn)青木菜穂子(p)北村聡(バンドネオン)@大泉学園inF

7月23日
■田野倉雅秋(vln)&坪川真理子(g)@ヤマハ銀座店
■Sembello, saigenji他@銀座Humble House Tokyo

7月24日
■POT HEADS(佐藤芳明accd、鳥越啓介B、田中栄二ds)@下北沢レディジェーン

7月26日
■Antoine Berthiaume(G)fromN.Yさがゆき(声)~VS~巻上公一、入間川正美、近藤秀秋@渋谷・公園通りクラシックス
■村治奏一(g)@三鷹市芸術文化センター

7月28日
■ガレージシャンソンショー+喜多直毅

7月31日
■小沼ようすけ with 西藤大信@関内KAMOME
■INBA MMGONGO@渋谷・宇田川ラバーズロック
*DJが全員女性という珍しいDJイベント。18時~23時。チャージ:♂1000円、♀1500円(1drink付き)

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2005.07.01

小沼ようすけのアコースティックトリオ(w佐藤慎一+仙道さおり)にはまだまだ可能性がありそうだぞ

7月1日、すなわち6月27日のライブからわずか4日後。余韻も冷めやらぬうちに同じ六本木アルフィーにて。

期待の若手クラシックギタリスト、新井伴典さんのCD発売記念リサイタルをすみだトリフォニーで最後まで聴いてから六本木へ移動。ちょうど1st setが終わった頃到着。

27日のライブについて自ら「今まで見たことがない世界」(ソニー公式サイトの日記より)とおっしゃる小沼さんですが、またまた新しい世界を見せてもらいました。

この日ハシゴしてでも聴きたかったのは仙道さんへの期待から。なので今回は仙道さんを中心に。2ndの1曲目がいきなりデュオで「シシー・ストラット」。以前小沼さんのソロでこの曲を聴いたときもアイディアに驚いたけど、仙道さんのパーカッションが入るとまた面白かったなあ。

打楽器というのは普通一定のリズムを刻むから、ノリの良し悪しはあっても、ものすごく意外なことが起こることはほとんどあり得ないはずなんだけど、仙道さんのプレイは全然予測がつかない。すごくアイディアが豊富で、時には本当に「え!?」と思うような意外な音が出てきたり。ネタバレになるとつまらないから伏せるけど、本来楽器じゃないものを使ったりとか。しかもそれが「面白さ」としての効果だけじゃなくて、見事に曲にハマってるんだよなあ。

仙波清彦さんにもちょっと通じるものがある。「仙」の字が共通しているのはなにかの因縁だろうか?仙波さんは仙波流家元、仙道さんもお父様が作曲家ということで、歴史を辿ればほんとに意味があったりして。

仙道さんのようなパーカッション奏者の場合、別にドラマーがいる編成で演奏する機会も多いのだけど、個人的には彼女一人で自由に叩いた方が面白いと思う。パーカッションだけでも音が薄いと感じたことはないし。あとカホンに対してはご本人もこだわりがあるらしく本当に見事ですね。カホン+他のパーカッションの組合せ方も抜群に上手い。

ベースの佐藤慎一さんは売れっ子のウッドベース奏者。小沼さんとの共演は久し振りだったと思うけど、以前はよく共演していたからコンビネーションはまったく問題なし。ギター、ウッドベース、パーカッションという組合せ
はバランスもいいし、是非レギュラー化してもらいたいものだ。

ついでに「アコースティックトリオ+喜多さんのヴァイオリンもどうですか」とリクエストしておいた。遠からず実現しますように。その前に、21日の太田恵資(vln)+喜多+仙道@大泉学園inFも楽しみ。

【追記】僕のリクエストが効いたかどうかわかりませんが、早速決まりましたー!
以下モーションブルーからのDMよりコピペ:
> Organic Jazz
8.22.mon ※入替なし
YOSUKE ONUMA with noon
小沼ようすけ ウィズ noon
小沼ようすけ(g)、noon(vo)、佐藤慎一(b)、仙道さおり(per)、喜多直毅(vln)
Charge:¥3,675
※Showtimes_6:30pm & 8:30pm (open_5:00pm)

自分的にモーションブルー史上最高ライブになる予感・・・

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