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2005.09.18

やっぱり期待通りの実力を見せてくれたジャブジャブサーキットと鈴木大介に惜しみない拍手を

17日はシアターグリーンと白寿ホールをハシゴ。

うっかり「ライブ・公演情報」に載せ忘れていたんだけど、20日まで池袋シアターグリーンで劇団ジャブジャブサーキットが「しずかなごはん」を再演中。摂食障害をテーマにした、ちょっとしたミステリーものです。観たことない芝居は勧めにくいのだけど、これは初演を観ているから問題なし。迂闊でした。

この日マチネで再見したらやっぱり面白かった。非常に丁寧な取材の上に書かれていると思います。「よく知ってるだろ、ちゃんと調べたんだぜ」という態度が芝居から垣間見えると興ざめなんだけど(これけっこうありがち)、そんなことはなくて、「患者の視点」が貫かれていると思う。作者の はせひろいち さん自身が一時期激ヤセしたのと無関係ではないだろう。将来医療関係者を目指す皆さん(注:うちは医療系大学ですからね)にこそぜひ観て欲しい作品。

夕方から富ヶ谷に移動して白寿ホールで鈴木大介さんのコンサート。武満徹「フォリオス」とブリテン「ノクターナル」が期待以上と言ってもいい絶品の出来。前者は武満にとって最初のギター作品なのだけど、ギターという楽器を知り尽くしたかのように美しい響きを聞かせる。才能ってのはこういうことなんだろうな、とつくづく思う。ギター作品を1曲しか残さなかったブリテンも然り。どちらも20世紀を代表するギターの名曲として輝き続けるだろう。

名曲の一つの要件は、表現の可能性の幅広さだ。ということはすなわち、演奏者の表現力も如実に現れる。フォリオスやノクターナルが名曲と言われてもピンと来ない人は、良い奏者の演奏で聴いていないのかも。大介さんのフォリオスには以前も感動したことがあるけど、この日はまた新たな表現に踏み込んだな、と感じた。終盤の迫力は鳥肌モノ。武満さんが大介さんのフォリオスを聴かずに亡くなられたのは返す返すも残念だ。

武満さんは晩年の病床で鈴木さんの1stCDを聴いて「かつて聞いたことがないような演奏をするギタリスト」とかなんとか言われたそうで、なんか「絶賛」というわけでもないし微妙な言い回しのような気もするのだけど、ひょっとするとCDそのものを誉めたというより、こういうフォリオスを演奏するような彼の才能の芽を感じ取っていたのかな、と思う。もし武満さんがその後も進化を続けた大介さんの演奏にじっくり接していたならば、彼のために新たな作品を書いたに違いない。

バッハも期待通りでした。大介さんの演奏で聴くと、ちゃんと本来の意味での舞曲に聞こえるんだよねえ。良い意味での軽さ。本当に踊りだしたくなるような。平たく言うとグルーヴ感。元はチェロやヴァイオリンの曲だけど、間違いなくギターでしか出せない味がある。しかしま、バッハに関しては以前やはり大介さんの演奏で神がかり的な名演の記憶があるのと、不運なことにシャコンヌのいいところで思いっきりケータイ鳴らしやがった輩がすぐ近くにいて集中力を削がれたので、これ以上の賛辞は控えておこう。

さて、集客はというと、さすがに前回よりよく入ってたな。音楽業界関係者も多い。「クラシックギター業界」(すなわち"身内"だな)だけじゃなくて、幅広いジャンルの音楽関係者から注目を集めるのも大介さんならでは。とはいえ、まだまだ空席があるのはもったいない。次回は12月17日。バッハの全無伴奏作品の中で個人的に最高傑作と思うBWV1012(チェロ組曲第6番)を含む、またしても注目のプログラムです。


BGM:クオン・ヴー(Cuong Vu)新譜「It's Mostly Residual」のサンプル(いや噂通りすごいなコレ・・・)

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