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2006.02.05

後期試験が終わったら「イノセント・ボイス」はとりあえず観とこう

シネスイッチ銀座にて、2月一杯はやってるそうなので。
続くvfsh0032.JPG

続き。
今日はまず、北村想脚本・劇団青い鳥『もろびとこぞりて ver.2,3』を観に表参道のスパイラルホールへ。

『もろびとこぞりて』はかつて想さんが主宰した劇団プロジェクトナビ(現在は解散)で上演された作品だが、今回のは改訂版ではなく、全面的に書き直された新作。想さんの新作が東京で観られるなんて、それだけで嬉しい。

喜多直毅「HYPERTANGO II」を制作したとき、ライナーノートは「評論家」なんかじゃなく、物書きとして一流の人に書いてもらいたかったので想さんにお願いした。ライナーノートも一つの「作品」であるべきと思うからだ。「HYPERTANGO II」の楽曲は今ではダウンロード販売で1500円ほどで買えるけど、1000円ほどのCDとの差額は茂本ヒデキチさんのイラスト(内側にもあり!)と想さんのライナーノートの分だと思ってもらえればいい。

今回の芝居については万人受けするような内容ではないものの、想さんらしいウィットと芝居への愛情が満ち溢れた作品。派手なカタルシスがあるわけではないけれど、じんわりココロに響くラスト。


観終わったらまだ4時前ということで、映画「イノセント・ボイス」を観に銀座へ。前から気になっていたところに、ギタリスト坪川真理子さんが御自分のサイトのBBSに書かれた感想がダメ押し。こりゃ観とかないとまずいな、と。

先日大友良英さんにインタビューした際、「中南米の文化は素晴らしいよねえ」という話で盛り上がったことを思い出す。ここに突きつけられる、もう一つの中南米の現実。舞台はエルサルバドル。

以下ちょっとネタバレ(観る前に読んでも問題ない程度に抑えるつもりですが)。

ギターケースをかかえてやってくる反政府ゲリラ。昭和天皇が亡くなる前、ギターケースを持って皇居付近を歩いていたら警察官に開けて見せろと言われたという冗談みたいなほんとの話があるが、このケースにも武器は入っていなかった。銃弾の雨のなか、ゲリラはギターを爪弾きプロテストソングを歌う。

いかにも何ヶ月も同じ弦を張りっぱなし、という感じのボヤけたギターの音色がいいんですな。チューニングも微妙に狂っていたり。コード進行がなんかシャレた感じで、さすが中南米。

主人公の少年は生き残るが、これはネタバレではない。彼自身が語り手なのだから、生き残ることに必然性がある。よくハリウッドのアクション大作で、かっこいいヒーローが間一髪の危機を何度も乗り越えてハッピーエンド、みたいなのがあるけど、ああいうのを観るたび、

おまえ、運が良かっただけじゃん

とツッコミを入れたくなるのはワタシだけでしょーか。いくら「奇跡的」な出来事でも、しょせん作り話なんだからどーにでもなるよなあ、とつい冷めた見方をしてしまう。

イノセントボイスは、死と隣り合わせの日常が現実にあったという話。「奇跡」は少年が生き残ったことではなくて、たまたま生き残る方に入った彼が脚本家としての才能に恵まれていたことだろう。事実を描いているから重みがあるということもあるけど、脚本がすごくよくできていると思う。ラテン的な明るさを持ったシーンが随所に織り込まれていて、コントラストが鮮やか。流れがとても自然だ。

音楽はちょっと残念。終盤の悲惨なシーンで「いかにも」てな感じの曲が流れる。監督のルイス・マンドーキはハリウッドで成功した後母国メキシコに戻って本当に撮りたい映画を撮り始めたらしいけど、そんなところに「ハリウッドスタイル」を取り入れなくてもよかったのになあ。プロテストソングの美しさ・力強さが印象的だっただけに、余計にそう思う。

【追記】
ひとつ書き忘れてました。パンフレットの解説、あれはなんとかならないものか。

ストーリーと重要シーンの描写が8割以上。映画を観てない人への説明なら、それもありかもしれませんよ(ネタバレの問題は別にして)。でもパンフは映画を観た後に読むものでしょーが。わざわざ説明してくれなくてもわかってるんですけど!そもそも あらすじ は別に書いてあるので重複も多い。

「現代パフォーミングアーツ入門」では毎回の授業後にレポートを提出してもらってますが、「鑑賞体験を共有しているのが前提なのだから、観れば(聴けば)誰でもわかるような客観的事実を並べて字数を稼ぐのはダメ」と最初に釘を刺します。独自の視点を提示してくれないと。これは文章の基本だと思うんだけどなあ。

プロの方には是非、お手本を見せて欲しいものです。

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Comments

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