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2006.03.10

突然の解散宣言という潔い幕引きによってあらためて最高のロックバンドであることを証明して見せたCoil(鬼怒無月、早川岳晴、田中栄二、中山努)

10日、江古田バディにて。

突然の解散宣言、そしてラストライブ。僕はそんなに熱心にこのバンドを追っ掛けてたわけじゃないけど、やはり感慨深いものがあります。

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それにしても本当に突然でした。なにせ田中栄二さんも驚いている。発表は前日。焦りましたよ。

当初鬼怒無月g、早川岳晴b、芳垣安洋dsのトリオでスタートしたこのバンドの第一印象は「インスト版レッドツェッペリン」。キメなどは(鬼怒さんの他のバンドと較べれば)わりとユルい。芳垣さんがジョン・ボーナムみたいに重いビートを叩きまくり、鬼怒さんは思う存分ロックギターを弾きまくる。

鬼怒さん+芳垣さんという組合せ自体貴重だったし、これはこれでかっこよかったんだけど、当時思ったのは「このバンドはすぐ煮詰まっちゃうんじゃないのか?」ということ。

それはあながち見当違いではなかったのかもしれなくて、アルバム2枚を発表した後、芳垣さんが脱退。代わりに入ったのは田中栄二という、聞いたことのない名前のドラマー(どうでもいいが総理大臣が佐藤作から田中角に代わった年に生まれたようだ)。いかにも筋肉質な芳垣さんと較べると見た目は一見ヤワ。街中ですれ違ったら

「ちょっと不良っぽいけどケンカしたら勝てそう」

とか思ってメンチ切っちゃいそうだ。

ところが。

演奏が始まると野獣に変身。俊敏かつ獰猛な野生動物を思わせる瞬発力。ハチャメチャに叩いているように見えて実はテクニカル。爆発的なノリのまま、「BOB」みたいなキレのよいフュージョン系の16ビートをキメる。こんなドラマー見たことないぞ!

さすが鬼怒さんが見込んだだけのことはあったのだ。ある意味この時点でCOILは別のバンドに生まれ変わったといっていいかもしれない。そのぐらい大きな変化だったように思う。おそらく鬼怒さんも田中さんと出会うことでアイディアが触発される部分もあったんじゃなかろうか。田中さんはその後売れっ子になり、多くの大物ミュージシャンをサポート。今やシーンでもっとも重要なドラマーの一人だろう。

と、つい田中さんへの言及が多くなってしまったが、もちろんこのバンドの主役は鬼怒さんである。

一音一音に「ど根性」を感じさせる音色に酔いしれた。ラスト近くでは、封印を解き放つかのような怒涛の速弾きにしびれる。ギター好きなら少年時代に誰しも憧れた「スーパーギタリスト」。それを現代の日本において、もっとも理想的な形で体現しているのが鬼怒さんなのだ。

鬼怒さんによる解散のコメントがまたイカしているので、公式サイトBBSより転載させていただこう。

「Coilは今が最高の状態だと思うのですが  しかしまた自分の中で今のフォーメイションでできることに限界を感じてしまい  解散を決めました。」

さまざまなフォーメーションで自己の音楽を追求し続けている鬼怒さんだからこそ、「限界」という言葉に説得力がある。ロックっぽいなあ。

この日、多少の空席はあったものの、結局僕は座る気が起こらず、最後まで立ちっぱなし。だってロックバンドは立って聴くのがマナーじゃないの?

違うか。でもそんな気がしたんだよな。

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Comments

解散ですか。

昨日Buddyのスケジュール表でCoiの
名前を見たばかりでした。

何時かは解散するのでしょうが、解散と
いわれると何か感じるものがありますね。

Posted by: maida01 | 2006.03.11 at 08:58 AM

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