« ライブ・公演情報(2006年6月~8月上旬) | Main | 井上淑彦+佐藤芳明+清水絵理子のライブが日常の中にあるという幸福を噛み締める »

2006.06.10

現代音楽でグルーヴするフルーティスト斎藤和志

9日、GGサロンにて。授業終わってから必死で駆けつけたけど前半聴き逃す。ああ「NULL SET」(鬼怒無月作曲・命名おれ)・・・

後半は「海へ」武満徹、斎藤和志(新作初演)「Blue Hyla in June」、ピアソラ「タンゴの歴史」より。

斎藤さん曰く「武満はどう吹いても美しいという安心感がある」(オフステージでの発言、ウロ覚えご容赦)とのことなのだけど、こんなに美しい「海へ」はそう聴けるもんじゃないですよ!ギターの弦に寄り添うように減衰していくディミヌエンドの心地良さ。x→∞でx軸に収束する無限回微分可能な曲線が目に浮かぶようだ。
(↑ちょっと数学屋っぽい感じ出してみました)

この日もうひとつ印象深かったのはリズム。無伴奏ソロの自作(当然超絶技巧の嵐)はもちろん、デュオにおいても伴奏者の刻むリズムに安易にのっかるということがない。自らグイグイ引っ張っていく感じ。クラシックのコンサートでこの種のグルーヴ感を味わえる機会はほんと貴重。

ピアソラは「ボルデル1900」、「カフェ1930」」、「現代のコンサート」を抜粋。敢えて「ナイトクラブ1960」を外す潔さ。1曲落とすときは終楽章「現代」が多いのだがとんでもない、「現代」で締めなきゃ物足りないぞ。「3楽章まではきれいだけど最後は意味不明」と思っているアナタは、この曲の本当の魅力をまだ知らない。

しかしそれも無理はないのだ。終楽章に限って言えば、そもそもちゃんと吹けてない演奏・たどたどしい演奏、安全運転でテンポ落としすぎてダルい演奏、逆に「おらおらテクニックあるぜ~」とばかりに無機的に吹きちらかす演奏。そんなんばっかだからな。

喜多直毅「HYPERTANGO」におけるタンゴヴァイオリン的アプローチを聴いたとき「ああなるほどこれはタンゴなのだ」と感動し(ぜひスアレス=パス盤と聴き比べていただきたい、負けてないぞ!)、以来(本来の楽器である)フルートによる演奏にはしっくりこない思いを抱き続けていたのだけど、斎藤さんの演奏を聴いて初めて「ああなるほどこれはフルートの名曲なのだ」と実感できた気がする。

誰もが美しさを認める1~3楽章も、実は「繰り返しがけっこうくどい」という「欠点」があるのだけど、そこは即興演奏も得意な斎藤さん、見事なフェイクで飽きさせない。それも「はいアドリブもできますヨ」みたいな取ってつけたようなのじゃなくて、ほんとにかっこいいんだよなあ。

ああ次に聴けるのはいつだろう・・・

|

« ライブ・公演情報(2006年6月~8月上旬) | Main | 井上淑彦+佐藤芳明+清水絵理子のライブが日常の中にあるという幸福を噛み締める »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/19691/10463464

Listed below are links to weblogs that reference 現代音楽でグルーヴするフルーティスト斎藤和志:

« ライブ・公演情報(2006年6月~8月上旬) | Main | 井上淑彦+佐藤芳明+清水絵理子のライブが日常の中にあるという幸福を噛み締める »