2004.06.18

遅ればせながら、輸入盤規制に関わる著作権法改定問題について僕なりに総括しておきます

前回の記事から早1ヶ月弱。法案は6月2日に原案通り可決されました(概要はこちらを)。今さらだけどコメントしときます。

高橋健太郎さんらの多大な尽力には頭が下がります。僕なんか反対署名しただけで結局なんにも行動してないという後ろめたさはある。正直、偉そうなこと言うのは気が引けます。

それでも、僕が今もずっと感じ続けている違和感については述べておきたい。これは高橋健太郎さんが以前コラムに書かれていた内容にも通じると思うのだけど。

そもそも、輸入盤が規制されたらそんなに困るのか?僕は大して困らない。ありえないけど、たとえ輸入盤が一切買えなくなったとしても。素晴らしい日本人ミュージシャンたちによる(もちろん世界に通用する)音楽は山のようにあって、それらを探求するだけで人生はまったく退屈する暇がないだろう。

だからといって「輸入盤が規制されても構わない」というわけではないですよ。現に肩書き晒してまで反対署名したわけだし。強調したいのは「(一部の)輸入盤が買えなくなるかもしれない」ことは一つの側面でしかなく、それが問題のすべてではないということ。

そしてもうひとつ。これがもっとも重要なことだけど。

音楽は法律によって殺されたりはしない。
音楽を殺せるのは「消費者」だけだ。

政治や法律によって音楽が殺せるとしたら、ときおり来日する、それまで名前すら聞いたことがなかったのにとんでもなく過激でゴキゲンな音楽を聴かせてくれる旧共産圏出身ミュージシャンの存在をどう説明したらいいのか。彼らは厳しい社会状況下で様々な制約を受けながらそのユニークな音楽を育んできたはずだ。

音楽は、それを強く欲するリスナーが極端に少なくなった場合にのみ、静かに死んでいく。多くの場合それは正常なな淘汰だけど、そうでないケースもある。そんな例をいくつか見てきた。

どんなに規制されようと、その音楽を心から聴きたいと願う人がいる限り、なんらかの方法で入手は可能だろう。

「消費者」の姿勢が問われるのは、まさにこれからなのだ。

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2004.05.20

輸入盤規制に関わる著作権法改定問題について整理しておきます

4月19日5月11日の記事で触れた著作権法改定問題について、あらためて言及しておきます。

この法案はすでに参議院で全会一致で可決され、来週には衆議院で審議入りするそうです。僕個人はこの法案に断固反対しますが、学生諸君に対して同意を求めたり、まして署名を呼びかけたりはしません。それは就業規定で禁止されている「学内での政治活動」に該当しかねないということもあるけど、それよりなにより、みんなが自分のアタマで真剣に考えてくれないと意味がないと思うからです。

ただ、よきにつけあしきにつけ、日本の音楽文化の将来を大きく左右しかねない大変な事態に直面しているということを知ってもらいたい。ここで取り上げる理由は、それだけです。あとは各自が判断してくれ。

音楽関係者による声明文
(僕も「メディア関係者」の末席に名前を連ねさせていただいてます)

問題を的確かつ冷静に整理している音楽評論家/プロデューサー高橋健太郎氏のサイト
(僕は彼がcolumnに書いている意見をほぼ全面的に支持します)
【追記】ただし5月19日付けのコラムはいきなり読むと混乱すると思います。古い方(4月15日あたりが最初)からどうぞ。

ITmediaの連載記事:第1回 第2回 第3回 最終回
(法案を推進する文化庁の意見も紹介されており、問題を多面的に知ることができます)

【20日の記事をこちらに追記】
5月20日の朝日新聞夕刊で輸入盤規制問題が取り上げられました。
「やっと」という感じだけど、まあよかった。ただ、ポイントは若干ズレてるなあ。国内盤で買えるものについては心配してないんだが。マイナー盤輸入にも影響が出る可能性を否定できないことが問題。

【さらに追記】
5/24付けで意見書&公開質問状が発表されました。
かなり細かい点まで問題を網羅しています。

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2004.05.11

あらためて「著作権法改定による輸入CD規制」への反対を表明します

一連のネット上の議論を複雑な思いも感じつつ見てきましたが、この声明文に賛同します。

 音楽ライター/東京医科歯科大学教養部助教授 徳永伸一(郎)


署名活動が行なわれていることも知っていましたが、反対する理由は皆様々で、当初は同じグループとして括られることに抵抗がありました。しかし今回の声明文では問題点が的確に整理されると同時に意見の最大公約数がうまくまとめられており、異議はありません。全面的に支持します。

署名者リストを見たら知り合いの名前もチラホラ。今さら名乗りを上げるなんてかっこ悪いったらありゃしないけど、黙っているよりはましでしょう。なお僕の意見は以前にも触れた通り、高橋健太郎さんのそれとほぼ完全に一致しています。高橋健太郎さんのサイトのコラムもぜひ御一読を。コピーコントロールと再販制度に関する意見も含め全面的に賛同します。

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